2024年08月10日 16:31 ITmedia NEWS
楽天グループは8月9日、2024年度第2四半期決算を発表した。連結売上収益は前年同期比8.1%増の5373億円で、連結Non-GAAP営業損益は118億円の赤字(同276億円の改善)、連結EBITDAは668億円の黒字で、非金融事業EBITDAも99億円の黒字だった。海外EC、FinTechセグメントが好調だった他、モバイル事業は契約者数の増加とコスト最適化が進み、赤字幅が縮小した。
「楽天市場」「楽天トラベル」などを中心とするインターネットサービスセグメントは、売上収益が前年同期比3.1%増の3039億円、Non-GAAP営業利益は30.3%増(マイノリティ投資事業除くと21.8%増)の189億円となった。楽天市場の流通総額は、前年に実施したSPU(スーパーポイントアッププログラム)の改訂や、全国旅行支援終了などもあり、同マイナス4.8%の1.4兆円だったものの、楽天トラベルの国内宿泊流通総額が2019年比で34%増と、コロナ禍前の水準を上回った。
「楽天カード」「楽天銀行」「楽天証券」などのFinTechセグメントも好調で、売上収益は前年同期比12.0%増の2027億円、Non-GAAP営業利益は28.1%増の423億円となった。楽天カードのショッピング取扱高は5.9兆円と13.9%増加し、楽天証券の口座数は22.7%増の1133万口座に達した。楽天銀行の預金残高は7月に11兆円を突破している。
●楽天モバイルは赤字幅を圧縮
赤字が続くモバイル事業は、売上収益が前年同期比18.6%増の950億円、Non-GAAP営業損益は606億円の赤字となった。前年同期の損失額から218億円改善し赤字幅を圧縮。全契約回線数は770万回線に到達。マーケティングコストを除いたキャッシュフロー(PMCF)は第2四半期で黒字化を達成したという。三木谷浩史氏(楽天グループ会長兼社長)は「グループ全体で見ると、すでにキャッシュフローがポジティブになってきている」と述べ、モバイル事業の改善を強調した。
他キャリアからのMNOが伸長した他、23~29歳、30~34歳の年齢層を中心に契約が伸びており、人口対契約回線比は2024年1月末でそれぞれ7.1%/8.9%だったのが、7月末で8.6%/10.2%に増加。家族プログラムなどで層の拡大を図るという。APRU(ユーザー1人あたりの平均売上)は、24年6月で2031円と横ばいが続いているが、他の楽天サービス利用が増加するなど波及効果をアピールする。
設備投資の遅さが指摘されているプラチナバンド周りでは「1年半以上前倒しでサービスを開始した」(三木谷氏)と積極姿勢をアピール。「1.7GHz帯も当初から3年以上前倒ししたが、それをプラチナバンドでもやっていきたい。積極的にプラチナバンドの敷設を行いたい」としている。また、5G(Sub 6)基地局の8割超でビームフォーミングを活用した「Massive MIMO」に対応。「他社と比較して大幅にMassive MIMOの比率が高い」(三木谷氏)と主張する。
●楽天モバイルの南海トラフ対応は?
また、8月8日に発生した宮崎県日向灘を震源とするM7.1の地震と、初の発出となる南海トラフ地震臨時情報に際し、楽天モバイルは対策本部を設置。「しばらくは様子見」(楽天モバイルの矢澤俊介社長)としつつも、もともと南海トラフを想定して機材を準備しており、災害が発生した場合に備え「バッテリーや発電機、可搬型の移動基地局などを少しずつ該当エリアの方に移動させ始めている」とする。また、アンテナの出力をコントロールし、バッテリーの延命を図るといった措置も準備しているという。