2024年08月09日 16:18 ねとらぼ
2024年8月8日、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。今できる対策は何なのか。政府各所が発信している防災情報をまとめました。
●南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)とは
気象庁は南海トラフ地震の想定震源域において、平常時と比べて相対的に大規模地震の発生可能性が高まっている状態だとし、8月8日の19時15分に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。
内閣府は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」について、事前の避難を呼びかけるものではないものの、日頃からの地震への備えの再確認に加え、地震が発生したらすぐに避難できる準備をするよう呼びかけるものとしています。
●今できる防災対策は? まず大事なのは「自助」
政府広報は公式サイトにて「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」を公開中。サイトによれば、災害による被害をできるだけ少なくするためには、一人一人が自ら取り組む「自助」、地域や身近にいる人同士が助け合って取り組む「共助」、国や地方公共団体などが取り組む「公助」が重要だといいます。
その中でも基本となるのは、自らの命を自らが守る「自助」の意識。「自助」に取り組むため、さまざまな防災対策を講じておくことが大切だと述べています。
●家の中でできる安全対策
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、多くの人が家具の下敷きになって亡くなったり、大けがをしたりしたため、大地震が発生したときには、「家具は必ず倒れるもの」と考えて、防災対策を講じておくことが必要です。
寝室や子ども部屋などには、できるだけ家具を置かないように注意。家具を置く場合は転倒防止対策としてなるべく背の低い家具にし、家具が倒れてけがをしたり、出入り口をふさいだりしないように、家具の向きや配置を工夫しましょう。
また、家具は転倒したりしないように、壁に固定するなどの対策をしておきましょう。家具のほかにも、窓ガラスやペンダント式の照明、テレビ、電子レンジ・オーブンなど、家の中には凶器になるものはたくさんあるため、地震の発生時、それぞれの部屋にどのような危険があるのかを考えて、対策をしておくことが大切です。具体的な固定方法は以下。
○「タンス」の固定方法
床側をストッパーなどで固定し、天井側はポール式器具で固定。ポール式器具は、タンスの奥の方(壁側)で、天井や家具の硬いところに取り付ける。上下に分かれている家具は連結しておく。
○「食器棚」の固定方法
L字型金具やワイヤーなどで壁に固定し、開き戸には開かないように留め金を付ける。ガラスにはガラス飛散防止フィルムを貼る。
○「本棚」の固定方法
L字型金具やワイヤーなどで壁に固定し、重い本は下の段に。本棚の端の硬い部分にひもやベルトなどを取り付けて、本が飛び出さないようにしておく。
○「テレビ」の固定方法
粘着マットを敷いて転倒を防ぐとともに、機器の裏側をワイヤーなどで壁やテレビボードに固定する。
○「冷蔵庫」の固定方法
裏側をワイヤーなどで壁に固定する。
○「窓ガラス」の固定方法
強化ガラスに替えたり、飛散防止フィルムを貼ったりする。カーテンを閉めておくことでも室内への飛散防止に効果があります。また、割れたガラスが飛散した部屋でも安全に歩けるように、スリッパなどを近くに置いておく。
なお、手の届くところに、懐中電灯やスリッパ、ホイッスルを備えておくことも重要です。懐中電灯は停電による暗闇を歩くときの必需品であり、割れたガラスなどの破片で足をけがをするのを防ぎます。ホイッスルは建物や家具の下敷きになった場合に救助を求めるためのもので、少しの息でもホイッスル音が出るので、救助する際の生息の目安になります。
●地震が発生したときの身の守り方
実際に地震が発生してしまった場合、緊急地震速報が流れてから強い揺れが来るまでの間は、数秒から数十秒のわずかな時間しかありません。すぐに周りの人に地震が来ることを知らせ、慌てずに身の安全を確保するようにしましょう。場所・状況別の対応は以下です。
○家の中
座布団などで頭を保護し、大きな家具から離れ、丈夫な机の下などに隠れる。あわてて外へ飛び出さない。もし、火事が発生した場合には可能ならば火の始末、火元から離れている場合は無理して火元に近づかないようにする。
○商業施設
施設の誘導係員の指示に従う。頭を保護し、揺れに備えて身構える。あわてて出口・階段などに殺到しない。ガラス製の陳列棚や吊り下がっている照明などの下から離れるようにする。
○エレベーターでは
最寄りの階で停止させ、速やかにエレベーターから降りるようにする。
○街にいるときは
ブロック塀や自動販売機など倒れてきそうなものから離れる。看板、割れた窓ガラスの破片が落下することがあるので建物の周囲から急いで離れる。
○山やがけ付近にいるときは
落石やがけ崩れが発生しそうな場所から急いで離れる
○自動車運転中のときは
あわててスピードを落とさず、ハザードランプを点灯させながら徐行し、周りの車に注意を促す。周囲の状況を確認して道路左側に停車させる。エンジンを止め揺れが収まるまで車内で待ち、揺れが収まったら、ドアをロックせずキーをつけたまま車外に出て、安全な場所へ避難する。
○電車・バスに乗車中のときは
つり革、手すりなどにしっかりつかまり、車外に投げ出されないように気を付けるとともに、車掌または誘導員の指示に従う。
○津波警報・津波注意報が出たときは
海岸近くにいるときに、強い揺れを感じたり、津波警報・津波注意報を聞いたりしたときはすぐにその場所から離れ、高台などに避難しましょう。はじめて訪れた観光地など地理に詳しくない土地でも、「津波避難場所」マークや「津波避難ビル」マークを目印にただちに避難してください。ただし、地方自治体が作成している津波ハザードマップなどによって指定された避難場所であっても津波は予想を超えて襲ってくることがあります。状況に応じ各自の判断で率先して避難するようにしましょう。
また、津波は、河口から川の流れに沿って上流側にも追いかけてきます。川の近くにいるときは、流れに対して直角方向に素早く避難しましょう。
●ライフラインの停止や避難への備え方
電気やガス、水道、通信などのライフラインが止まった際や、避難生活を送る際に向けた準備も大切です。あらかじめ飲料水や非常食などを準備し、避難所生活に必要なもの(非常用持ち出し品)をリュックサックに詰めておいて、いつでもすぐに持ち出せるようにしておきましょう。 また、市町村が指定する避難場所、避難所が変更・増設されている場合があるため、最新の避難場所、避難所情報を市町村公式サイトなどで確認しておくことも重要です。
○災害時に備えた備蓄品の例
・飲料水…一人1日3リットルを目安に、3日分を用意
・食品…ご飯(アルファ米など一人5食分を用意)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど、一人最低3日分の食料を備蓄しておきましょう。
・下着、衣類
・トイレットペーパー、ティッシュペーパーなど
・マッチ、ろうそく
・カセットこんろ
※非常に広い地域に被害が及ぶ可能性のある南海トラフ巨大地震では、「1週間分以上」の備蓄が望ましいとの指摘もあります
※飲料水とは別に、物を洗ったり、トイレを流したりするための水も必要です。日頃から水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつもはっておくなどの備えをしておきましょう
○非常持ち出し品の例
・飲料水
・食料品(カップめん、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
・貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
・救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
・ヘルメット、防災ずきん
・マスク
・軍手
・懐中電灯
・衣類
・下着
・毛布、タオル
・携帯ラジオ、予備電池
・使い捨てカイロ
・ウェットティッシュ
・洗面用具
・乳児のいる家庭はミルクや紙おむつ、ほ乳びんなども用意しておきましょう
○感染症対策に使用する衛生用品の例
・マスク
・手指消毒用アルコール
・せっけん、ハンドソープ
・ウェットティッシュ
・体温計
●安否確認の方法
災害が発生したときには、お互いの安否を確認できるように、日頃から安否確認の方法や集合場所などを家族で話し合っておくことが大切です。全員が携帯電話を持っている場合でも、災害時は回線がつながりにくくなるため、連絡がとれない場合があります。安否確認には、「災害用伝言ダイヤル(171)」、携帯電話のインターネットサービスを利用した「災害用伝言板」などのサービスを利用しましょう。
○災害用伝言ダイヤル
大災害発生時に、被災地内の電話番号に限り利用可能なサービスとして、局番なしの「171」に電話をかけると、音声ガイダンスに従って安否などの伝言を音声で録音することができます。被災者の家族等が全国どこからでもその伝言を再生し安否を確認できたり、被災者に対する伝言を録音したりすることができるサービスです。一般加入電話や公衆電話、一部のIP電話から利用できます。
○災害用伝言板
携帯電話のインターネットサービスを活用し、被災地域の方が自らの安否を文字情報によって登録することができるサービスです。
大災害発生時には、携帯電話各社のポータルサイトのトップメニューに「災害用伝言板」へのリンクが表示されます。登録された伝言は各社の携帯電話やPCなどで、電話番号をもとに検索することで閲覧することができます。
●出典
・内閣府「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!」
・気象庁「南海トラフ地震臨時情報について」
・政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」