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パジェロで培った技術で足回りを大幅改良。チーム三菱ラリーアート、AXCR開幕直前のテストで準備を整える

2024年08月07日 22:10  AUTOSPORT web

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2022年以来、2年ぶりのAXCR総合優勝を目指すチーム三菱ラリーアート。総監督を務めるのはダカールラリー2連覇の経験を持つ増岡浩だ
 三菱自動車は8月7日、同社が技術支援しタイのタントスポーツが運営するチーム三菱ラリーアートが、今月11~17日にタイ南部~中部で開催されるAXCRアジアクロスカントリーラリー2024の開幕を5日後に控えた6日火曜、参戦車両である『ミツビシ・トライトン』のシェイクダウンを実施したと発表した。

 2022年に先代のピックアップトラック『トライトン』でAXCRに出場し見事、初参戦初優勝を飾ったチーム三菱ラリーアート。今季2024年は、昨年惜しくも逃した総合優勝をふたたび手中に収めるべく、2023年にデビューした新型トライトンの動力性能や走行性能などを大幅に高める改良を実施したうえで、チャヤポン・ヨーター、田口勝彦、サクチャイ・ハーントラクーン、さらに社員ドライバーの小出一登を起用して4台体制を敷くなど、2年ぶりの“王座奪還”に向けてクルマもチームも進化を遂げている。

 新型トライトンでは2度目の挑戦となるAXCRの2024年大会には、四輪部門から46台、二輪部門は19台、サイドカー部門が2台の合計67台が出場予定だ。

 ラリーは11日(日)にタイ南部の都市スラタニエリア中心部のランドマークである時計台でセレモニアルスタートが実施された後、翌12日(月)のレグ1から本格的な競技がスタートする。レグ2は全行程で最長の一日となり、スラタニからホアヒンまでの移動を予定。この区間では大きなわだちや岩屑が積み重なるような険しいコースが想定されている。

 レグ3はホアヒン周辺のフラットダートでの高速コースとなり、続くレグ4でカンチャナブリへ移動し山間部を抜ける起伏のあるコースを走行する。終盤のレグ5はフラットながらもプランテーション間を走り抜ける、視野のとりづらいコースに。そして最終日となる17日(土)のレグ6はカンチャナブリの新しい観光名所“スカイウォーク・カンチャナブリ”でフィニッシュを迎える。

 この7日間、距離にして約2100kmを移動する過酷なラリーを前に、元ダカールラリー2連覇王者の増岡浩が率いるチームはタイのテストコースでシェイクダウンを実施し、各部のチェックを行うなど“負けられない戦い”に向けて万全の準備を整えた。

 なお、同チームは6月下旬にもタイのオフロードコースで800kmにおよぶ走行テストを行っており、ここでは耐久性や進化した動力性能、操縦性、走破性に対する手応えを得るとともに大幅に改良されたリヤサスペンションの課題が洗い出したという。

 2年ぶりの総合優勝を目指すチーム三菱ラリーアートの増岡総監督は2024年大会を前に、次のように意気込みを語った。

「今回の『トライトン』は動力性能の向上やワイドトレッド化に加え、かつてダカールラリーを制した『パジェロ』のノウハウを活用してリヤサスペンションを大幅改良した結果、例えば100km/hを超えるような高速ステージでも、アクセル全開で駆け抜けることができるようになりました。従来の強みである極悪路での走破性にも磨きをかけており、狙いどおりに仕上がっています」

「チーム体制も3台から4台に強化し、ドライバーとコドライバーはそれぞれの役割をしっかりと果たしてくれると思います。2年ぶりの総合優勝を狙うとともに、『過酷なモータースポーツの現場での経験をクルマづくりに活かす』という三菱自動車らしいクルマづくりの伝統を受け継いでいきたいと思います」