2024年08月02日 16:01 ITmedia PC USER
最近「AI PC」「Copilot+ PC」という言葉をよく耳にする。AI PCは、AI(人工知能)で多く使われる推論演算に特化したプロセッサ「NPU」を統合したCPUを備えるPCのプロモーション上の愛称だ。そしてCopilot+ PCは、Microsoftが強力なNPUを搭載したPCに与えるブランド名だ。
主要なPCメーカーは、AI PCやCopilot+ PCを新製品として順次投入している。デル・テクノロジーズも例外ではなく、日本でも6月18日からCopilot+ PCを販売し始めた。
そんな同社が7月31日、個人/法人向けのCopilot+ PCに関する説明会を開催した。同社は、Copilot+ PCを含むAI PCにどう取り組んでいくのだろうか。
●意外と認知されていない「AI PC」 だからこそ伸びしろは大きい
デル・テクノロジーズでは、Webに掲載した記事広告(タイアップ記事)で「AI PCにおける意識調査」を実施した。有効回答者1897人のうち、AI PCを“全く知らない”と答えた人は実に半数に及んだという。
一方、同じ調査ではAI PCを「資料生成」「画像生成」「検索エンジン」など、多岐に渡る用途で使いたいという意向が伺えた。また、AI PCを購入する上で重要視するのは「価格」「使いやすさ」「利便性」の3点であることも分かった。
同社の松原大氏(コンシューマー&ビジネスプロダクトマーケティング統括本部 コンサルタント)は、Copilot+ PCを含むAI PCの認知は「私たちメーカーとMicrosoftの(抱える)課題の1つ」とした上で、PCをより便利に使うための選択肢の1つとして、「(市場的に)伸びしろのある」AI PCのラインアップ強化に取り組むと語る。
●デルのCopilot+ PCは3シリーズ 今後も拡充予定
5月に発表されたデル・テクノロジーズのCopilot+ PCは、現状で3シリーズが用意されている。いずれもQualcomm製の「Snapdragon X Elite」または「Snapdragon X Plus」を搭載するArmアーキテクチャ機だ。
それぞれどのような特徴があるのか、簡単に紹介する。
Inspiron 14 Plus(7441)
「Inspiron 14 Plus(7441)」は、個人向けのメインストリームモデルで、日本では6月28日から直販サイトで、7月6日からは一部構成限定で量販店で販売されている。
直販価格は、Snapdragon X Plus(10コアCPU)モデルが18万9800円から、Snapdragon X Eliteモデルが26万4760円からとなる。主な仕様は以下の通りで、直販サイトでは★印の付いている部分をカスタマイズ可能だ。
・Snapdragon X Plusモデル
・SoC:Snapdragon X Plus X1P-64-100(CPUコア10基)
・メモリ:16GB(LPDDR5X-8448)
・ストレージ:512GB SSD
・ディスプレイ:タッチ対応14型液晶(2560×1600ピクセル/最大400ニト)
・OS:Windows 11 HomeまたはPro(Arm)★
・ボディー:アルミニウム(カラーはアイスブルー)
Snapdragon X Eliteモデル(7月2日から販売中)
・SoC:Snapdragon X Elite X1E-80-100(CPUコア12基)
・メモリ:16GB(LPDDR5X-8448)
・ストレージ:1TB SSD
・ディスプレイ:タッチ対応14型液晶(2560×1600ピクセル/最大400ニト)
・OS:Windows 11 HomeまたはPro(Arm)★
・ボディー:アルミニウム(カラーはアイスブルー)
なお、9月下旬には、ディスプレイをタッチ非対応14型液晶ディスプレイ(1920×1200ピクセル/最大400ニト)、ボディーカラーをタイタングレーに変更した「New Inspiron 14」も登場する。SoCはSnapdragon X Plusのみで、CPUコアが10基のSnapdragon X Plus X1P-64-100の他、8基でより手頃な「Snapdragon X Plus X1P-42-100」も選べるようになる予定だ。
XPS 13(9345)
「XPS 13(9345)」は個人向けのプレミアムモデルという位置付けで、先に発売済みでIntelのCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)を搭載する「XPS 13(9340)」と同一のボディーを採用している。6月18日から直販サイトで、7月6日からは一部構成限定で量販店において販売中だ。
直販価格は、タッチ非対応液晶パネルモデルが24万9980円から、タッチ対応液晶パネルモデルが27万3080円から、タッチ対応有機ELパネルモデルが26万7580円からとなる。
主な仕様は以下の通りで、直販サイトでは★印の付いている部分をカスタマイズ可能だ(選択するオプションによって、他のオプションが選択不可または限定される場合もある)。
・SoC:Snapdragon X Elite X1E-80-100(CPUコア12基)
・メモリ:16GB/32GB/64GB(LPDDR5X-8448)★
・ストレージ:512GB/1TB/2TB SSD★
・ディスプレイ:13.4型★
・タッチ非対応液晶(1920×1200ピクセル/最大500ニト)
・タッチ対応液晶(2560×1600ピクセル/最大500ニト)
・タッチ対応有機EL(2880×1800ピクセル/最大400ニト)
OS:Windows 11 HomeまたはPro(Arm)★
・直販では英語OSのプリインストールにも対応(通常は日本語)
キーボード:日本語配列(バックライト付き)★
・直販では米国英語(US)配列も選択可
ボディー:アルミニウム
・カラーはプラチナまたはグラファイト★
Latitude 7455
「Latitude 7455」は、法人向けのプレミアムモデルという位置付けだ。プレミアムモデルということもあり、直販の法人モデルとしてはハイエンドな構成を選べるようになっていることも特徴となる。直販サイトでは7月2日から販売を始めており、標準構成(※1)の販売価格は35万2721円となっている。
(※1)本モデルのみ、メーカーの“お勧め”が標準構成となっている(最小構成ではないので注意)
主な仕様は以下の通りで、直販サイトでは★印の付いている部分をカスタマイズ可能だ(選択するオプションによって、他のオプションが選択不可または限定される場合もある)。
・SoC★
・Snapdragon X Plus X1P-64-100(CPUコア10基)
・Snapdragon X Elite X1E-80-100(CPUコア12基)
メモリ:16GBまたは32GB(LPDDR5X-8448)★
ストレージ:512GB/1TB SSD★
ディスプレイ:タッチ対応14型液晶(2560×1600ピクセル/最大400ニト)
OS:Windows 11 HomeまたはPro(Arm)★
・直販では英語OSのプリインストールにも対応(通常は日本語)
キーボード:日本語配列(バックライト付き)★
・直販では米国英語(US)配列も選択可
ボディー:アルミニウム
なお、メインストリームモデルの「Latitude 5455」も9月下旬以降に発売される予定で、詳細は追って発表されるという。
デル・テクノロジーズでは、これからノートPCは「NPUなし」「AI PC(40TOPS未満のNPU搭載)」「Copilot+ PC」の大きく3種類に分かれていくと見ているという。ユーザーがニーズや予算に合わせて選べるようにすべく、いずれのセグメントにも幅広いラインアップを用意していく方針だ。