トップへ

高級ブランド「セリーヌ」で買った新品バッグに不具合…「交換」じゃなくて「有償の修理対応」が法的に正しいの?

2024年07月30日 10:20  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

高級ブランド「セリーヌ」で購入した新品バッグに不具合があったので、交換してもらおうと問い合わせたところ、有償の修理対応になると言われた――。そんな投稿がXで話題となっています。


【関連記事:■セックスレスで風俗へ行った40代男性の後悔…妻からは離婚を宣告され「性欲に勝てなかった」と涙】



この投稿には、金具が硬すぎてバッグが閉まらない様子の動画も掲載されています。



投稿者が店側に問い合わせると、店舗で購入する際に「実際に見てご納得した上で購入しましたよね?」という理由で、有償修理の対応になると説明されたといいます。バッグは約57万円で未使用とのことです。



弁護士ドットコムニュースの取材に対して、セリーヌは商品の初期不良への対応について、次のようにコメントしています。



「未使用の店舗ご購入品に初期不良が認められた場合には、無償修理や返品・交換の対応をおこなう場合がございます。ご使用後や、お客様起因(例:外的要因・水濡れ等)での破損の場合には、保証期間内2年以内であっても有償のお修理でのご案内となります」



その後、投稿者はセリーヌ側が謝罪し、返品となったと明らかにしていますが、一度持ち帰ったら、購入者側の過失になってしまうことはあるのでしょうか。上田孝治弁護士に聞きました。



●初期不良があったら売った側に「契約不適合責任」

——商品を購入して持ち帰った後に不具合が見つかった場合、交換してもらえないのでしょうか。



商品を購入して買主が引き渡しを受けた場合に、その商品に、はじめから契約当事者が想定していない不具合があったのであれば、買主は売主に対して、民法の定める契約不適合責任を追及できます。



契約不適合責任の追及の方法はいくつかありますが、たとえば高級ブランドのバッグのような場合には、買主が売主に対して、無償の修理対応を求める方法が考えられます。



この契約不適合責任は、商品を引き渡した段階ですでに想定外の不具合が存在していたと言える場合に、売主の責任が発生するところがポイントになります。



したがって、特に中古品などでは、はじめから一定の不具合やキズなどがあることは想定内ということもありますので、そのような不具合やキズがあったとしても、そもそも「契約不適合」とは言えません。



また、商品を引き渡した「後」に生じた不具合やキズについても、「契約不適合」の問題とはなりません。



●購入時に確認していたら購入者の責任?

——店舗で商品の状態を確認していたら、その後に不具合が発見されても、購入者側の責任になってしまうのでしょうか。



新品の高級ブランドバッグの購入における金具の不具合は、通常、契約当事者にとって想定外になります。



ただし、購入のときに実物を一緒に確認した際に、金具についても問題がないことを確認していたのであれば、引き渡し時には問題はなく、問題が生じたのは引き渡し「後」と考えられるので、契約不適合の問題は発生しないことになります。



結局、今回のケースでは、引き渡し時に、バッグのどの部分についてどのように確認がおこなわれたのか、金具の不具合が引き渡し時にすでにあったといえるかどうかが最大のポイントになります。



なお、売買契約の場合には、仮に商品が未使用であったとしても、自己都合でのキャンセルは、民法上、基本的に認められていません。



ただし、契約不適合があるにもかかわらず、売主のほうで必要な修理などをしない場合には、買主が契約を解除して商品を返すと共に、売主から代金を返してもらうことは可能です。




【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題、不動産・マンション管理法務に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:https://www.kobe-sakigake.net/