子猫の出産シーズンの春以降、保護した人たちの報告がSNSで相次ぎましたが、会社で保護したという投稿も散見されました。
香川県の人材会社、Coaマネジメントでも、子猫を保護しているそう。子猫は会社でどんな暮らしをしているのか、また会社に猫がいることで社員の方たちにどのような影響があるのか、お話を伺いました。(取材・文:辻ひかり)
交通量の多い道路で…「猫が車に轢かれているのをよく見るため、保護することに」
保護した翌日、猫風邪で目がしょぼしょぼしていました
子猫を保護したのは社員の方でした。6月18日、雨上がりの帰宅途中に、子猫が車道に飛び出してきたそうです。
「道路沿いには林があり、林側から1匹で飛び出してきました。車通りが多い時間帯でしたので、子猫が飛び出してきた際に片側2車線の先頭を走っていた2台が停車しました。その1台が社員です。この道は交通量も多く猫が車に轢かれているのをよく見るため、保護することにしました。雨あがりで身体が濡れており震えていました」(Coaマネジメント広報ご担当者、以下同)
翌日に動物病院に連れていったところ、生後1か月半ほどであることがわかりました。雨に濡れたせいか、風邪をひいて目やにが酷く、ノミもついていました。もし保護されていなかったら、猫風邪が悪化して危険な状態になっていたかもしれません。まさに間一髪のところで助けられたようです。
「子猫が行き来するので他部署間での交流が増え、社内の雰囲気が和やかに」
「副社長」と呼ぶ社員さんもいます
保護した社員さんは子猫を事務所に連れてきました。事務所内には15人ほどおり、猫や犬が好きな方が多く、温かく受け入れてくれたそうです。そのまま会社に置くことになった経緯を伺いました。
「SNSで子猫が社員として入社したと投稿したり、『副社長』と肩書をつけたりと、皆とても可愛がってくれています。保護した翌日には里親探しが始まりましたが、社員の様子を見た社長からは『里親が見つかるまで、もしくは見つからなかったら会社で世話をしようか』という話が出ました。動物好きな社員たちの保護したいという気持ちがあり、最終的に社長の承認を得て、自然の成り行きで会社に置くことが決まりました」
子猫は社員の皆さんと同じ事務所内で過ごしているそう。広いフロアを自由に行き来しているとのことで、遊びたい盛りの子猫には嬉しい環境なのでしょう。
「最初は事務所内の一部からあまり動いていなかったですが、今は慣れてフロア全体を走り回るようになりました。おもちゃで遊び、昼間は空いている椅子でお昼寝していることが多いです」
子猫と働くことになり、社員さんたちにある変化が起きているようです。
「事務所のフロアには二つの部署があるのですが、子猫が行き来するので他部署間での交流が増えました。癒されて仕事が滞ることもありましたが、メリハリをつけてうまく調整ができているかと思います。また社内の雰囲気が和やかになりました」
家庭のなかでも動物がいることで共通の話題が生まれて会話が増えますから、職場でも同じような効果があるのでしょう。
「猫好きの社員が自然体でお世話しています」
よく食べよく遊んでよく寝るのが「副社長」の仕事です
子猫のごはんやトイレの片付けについては、当番制ではなく「猫好きの社員が自然体でお世話しています」とのこと。そして夜になると、社員さんと一緒に子猫も帰宅するそうです。
「社員が自宅に連れて帰って世話をしています。自宅にいる先住猫が遊び相手になっています。翌日もしくは休日明けに一緒に出社します」
一般的には猫は家につくと言われ環境の変化が苦手ですが、生後1か月ほどから家と会社を行き来していると慣れることもあるのでしょう。
保護から1か月が経ち、健康状態も良いようです。6月19日時点で540グラムだった体重は、7月16日には980グラムと2倍近くに成長しています。
「よく食べて、よく遊んでいます。デスク上に飛び上がり可愛いいたずらをするようになったので社員を和ませてくれています」
すっかり社員の一員になっているようです。ところで、保護時は里親募集していたとのことですが、どうなったのでしょうか。
「現在1名がトライアル中です。ただトライアルしているのが社員であるため、子猫はその社員の家にずっといる、もしくは今まで通り出社するのがいいのか、模索中です。子猫、飼う人、会社のことを考え、決めていきたいと思います」
トライアルがうまくいき、その社員さんの家の子になったとしても、様子を教えてもらえたら皆さんも安心すると思います。でも本猫が「たまには副社長として出勤したいにゃ」とカバンに入ろうとするなどして、アピールしてくるかもしれませんね。