Text by 廣田一馬
パリオリンピックが7月26日から開幕する(パラリンピックは8月28日から)。
1924年以来、ちょうど100年ぶりにパリで開催される今回のオリンピックでは、エッフェル塔やヴェルサイユ宮殿など、パリ市街の美しい建造物を背景に競技が行なわれることも大きな特徴だ。
今回の記事では、注目の会場について紹介する。
Paris 2024 - Non-contractual visual
テコンドーとフェンシング、車いすフェンシングの競技が行なわれるグラン・パレは、1900年のパリ万国博覧会のために、当時の最新技術を駆使して建設。4人の建築家が設計に関わった建造物で、ガラスと6000トン以上の鉄骨が使用された「身廊」と呼ばれるガラス屋根の空間が特徴的だ。
1964年には建築家のピエール・ヴィヴィアンが建物の一部を国立美術館のグランパレ・ナショナル・ギャラリーに改装。パリを代表する美術館の1つとして、これまでに古今東西のさまざまなアーティストたちの作品を紹介してきた。
高さ330メートルを誇るエッフェル塔はフランス革命100周年となる1889年のパリ万国博覧会のために建設。もともとは20年後の1909年に解体される予定だったが、気象観測所や無線電信局の設置などで活用され、現在ではパリの象徴的な建造物となっている。
競技が行なわれるエッフェル塔スタジアムは、ビーチバレーとブラインドサッカーの会場としてエッフェル塔に隣接するシャン・ド・マルス公園に仮設。
シャン・ド・マルス公園はパリの象徴的な市民公園で、フランス革命記念日の7月14日には毎年花火大会が開催されるほか、ワールドカップ決勝のパブリックビューイングなどさまざまなイベントが開催されている。
ヴェルサイユ宮殿では、馬術と近代五種を開催。
1682年にルイ14世の宮廷となり、フランス王室の本拠地となった建物で、1883年以来、庭園とともに国立博物館として市民に公開されている。1979年にはフランス国内で最初となるユネスコ世界遺産として登録されたが、当初は狩猟用のロッジとして利用されていた建物だったという。
Shutterstock
アレクサンドル3世橋はセーヌ川の両岸にかかる幅45メートル、長さ107メートルの橋。1900年のパリ万国博覧会で落成されされたこの橋の両端には4つの柱があり、金色のブロンズ像が掲げられているのが特徴だ。
近隣に仮設観客席が設置され、自転車競技やマラソンスイミング、トライアスロンの会場となる。
アンヴァリッドは、ルイ14世が統治していた1687年に退役軍人のための軍病院、療養所として建設された建物。内部には、13~15世紀の世界中の武器、武具、軍服が集められた軍事博物館のほか、ナポレオンの棺が安置されている。アンヴァリッドの向かい側にはアレクサンドル3世橋がかかっており、セーヌ川の対岸にあるグラン・パレと結ばれている。
競技はアンヴァリッドの前庭となるエスプラネード・デ・アンヴァリッドで開催。東西を並木に囲まれた場所で、アーチェリー、自転車ロードレース、陸上競技の舞台となる。
このほか、オリンピック開会式のアスリートパレードはセーヌ川で開催。各選手団のためにボートが用意され約10000人のアスリートがパリの中心を横断するなど、さまざまな形でパリの市街地が活用される予定だ。