2024年07月25日 11:10 弁護士ドットコム
エスカレーターを「歩かず立ち止まろう」と安全利用を呼びかけるキャンペーンが7月22日から、全国の鉄道事業者や空港・商業施設、一部の自治体ではじまった。
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エスカレーターの片側を歩行用にあける習慣「片側空け」についても、障害者や高齢者に限らず、さまざまな事情で手すりをつかまないといけない人もいるため、危険な事故につながる場合もあるとしている。
埼玉県や名古屋市などの自治体によっては、罰則こそないものの、条例で「立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」と義務付け、左右両側に立ち止まることを推進している。
とはいえ、東京や大阪などの都心などでは、今もエスカレーターを片側空けにする習慣が存在し、ひどいときには後ろから来た人に「どけ」と言われることもある。
SNSでは、片側を空けずに立ち止まっていると、下から「どいて」「急いでいるのですみません」と言われたという投稿が少なくない。また、「どいてほしい」とアピールするためか、手すりを叩いてドンドン音を鳴らされたという投稿もあった。
「どけ」と言われた際の対応について、今回のキャンペーンに参加しているJR東日本に聞いた。
「基本的には立ち止まって2列に並んでご利用いただきたいと考えております。しかしながら、片側を空けて歩行することが一定程度定着している現状があることから、すぐに全てのエスカレーターにおいて立ち止まり、2列に並んでご利用いただくことは困難であるとも認識しております」
「このため、弊社ではエスカレーターご利用の際は譲り合ってご利用いただくとともに、『歩かず立ち止まること』並びに『手すりにつかまっていただくこと』を慫慂(※編注)するキャンペーンやご案内を全国の鉄道事業者等と連携して社会へ訴求していきたいと考えています」
(※編注:「慫慂」の読みは「しょうよう」。三省堂国語辞典第八版によれば「〔~しなさい、と言って〕すすめること」)
具体的な対応策は避けながらも、長い目で理想の形にたどりつこうと考えていることが伝わってくる回答だった。
そもそも、エスカレーターでそんなに急ぐ必要はあるのか。
漫画『ひらやすみ』(作:真造圭伍さん)では、「片側空け」が結果的にエスカレーターに渋滞を招いているとして、エスカレーターで歩く場合と階段で歩く場合にどれだけの差が生じるか調べるため、主人公が友人と実験した。
その結果は3メートルだったといい、主人公は「それで人生の何が変わんの!?」と吠えている。