F1第13戦ハンガリーGPのフリー走行2回目で、角田裕毅(RB)は19番手に終わった。もちろん、これは角田の真のパフォーマンスを現したものではない。なぜなら、角田はこのセッションで長い時間ガレージにとどまり、ライバルたちが20周以上走行するなか、13周しか走行できなかったからだ。
「なんとかセッション終盤にコースに出て行ったんですが、ちょうどほかのみんながロングランをしていたタイミングで、クリーンなラップを刻むことができませんでした」
そう角田は19番手に終わった理由を説明した。
では、なぜ角田は長い時間、ガレージにとどまっていたのか?
「セットアップで不具合があって、時間をロスしました。最終的に完全に修正されないまま、終わりました」
じつは、角田とチームはフリー走行1回目から2回目に向けて、かなり大きくセットアップを変更する決断を下した。ところが、それがある不具合で正しく行えていない状態でセットアップされたため、フリー走行2回目の走り始めで、すぐに角田はチームに改善を要求した。
しかし、その修正作業に手間取ってしまった。角田は言う。
「セットアップを変更したこと自体は悪くなかったんですけど、ひとつの問題があって、セットアップが僕たちが望んでいたとおりの状態にまったくなっていなかったんです」
レーシングディレクターのアラン・パーメインはこう語った。
「残念ながら、ユウキはフロントサスペンションのセットアップに問題を抱えてしまった。最終的に何が問題なのかはわかったのだが、わかるまでに時間を要し、修復が間に合わなかった」
初日、19番手に終わったものの、角田にはここ数戦よりも明るい雰囲気が感じられた。
「ここは低速コーナーや直角コーナーが多いので、高速コーナーが多かった過去3戦よりもライバルたちとの差を縮められていると思います」
その言葉が示すように、チームメイトのダニエル・リカルドは初日8番手だった。角田もフリー走行1回目では8番手と好調な滑り出しを見せていた。
「リカルドや僕のフリー走行1回目の状態を見る限りは、チームとして全体的にいいと思いうので、それはポジティブです」
日曜日のレースに向けて、ロングランができなかったことは痛いが、ここは『ガードレールがないモナコ』と言われるように、ロングランよりも予選ポジションのほうが重要だったことは、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
「ここは予選が重要なので、そこに集中するだけです」
久しぶりに初日からトップ10以上のポテンシャルを感じたハンガリーGPの金曜日だった。