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刀剣男士と日本刀を学んで、感じる。日本科学未来館特別展『刀剣乱舞で学ぶ 日本刀と未来展』レポ

2024年07月19日 19:10  CINRA.NET

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Text by 今川彩香

東京・日本科学未来館で『刀剣乱舞で学ぶ 日本刀と未来展 ‐刀剣男士のひみつ‐』が開かれている。

『刀剣乱舞ONLINE』は、刀剣が戦士へと姿を変えた「刀剣男士」を率いて歴史を守る刀剣育成シミュレーションゲーム。本展では刀剣男士とともに、日本刀ができるまでを学んだり、本物の日本刀を観察したり、剣術を体験したり、さまざまな内容を展開。日本刀を通して、歴史や技術、文化が人々の思いとともに現代に継承されていることを体感してもらいたいとしている。

会期は10月14日まで。展示をレポートする。

本展覧会は、刀や作刀技術などを次の時代へと継承しようとする人々の思いあってこそ、いまの「日本刀」があるとして、それらをさらに「未来につないでいく」ことをコンセプトに掲げている。

7月9日の内覧会では、開会式も行なわれた。登壇した『刀剣乱舞』原作プロデューサー、でじたろうは「武器が不要なこの現代において、これほどの日本刀が残っているのはなぜでしょうか? それは、日本人の心を惹きつけるような美しさがあるからだと思います。過去の人たちも同じ思いで、残していこうという気持ちがあって、だからこそいまも残っているのだと、私は想像しています」とし、「何より私が思う日本刀の魅力というのは、われわれ日本人とともにあり、そして、これからもあり続けるということ。そういったことから、この日本刀が歴史をどう見ていたのか、そしてこれからの未来をどのように見るのか。そういう観点と発想から刀剣男士が生まれました」と語った。

さらに、「刀剣乱舞が、日本刀の歴史の一部を担うものとして、未来につないでいくための一助になれるんじゃないかと思います」とし、本展については「特に、これからの将来を担う子どもたちにとってわかりやすい内容であることをとても大切にしました」と説明した。

左から『刀剣乱舞』原作プロデューサーのでじたろう、本展オリジナルナビゲートキャラクターの「きゅうのすけ」、刀剣乱舞ONLINE宣伝隊長である「おっきい こんのすけ」

開会式では、本展をナビゲートするオリジナルキャラクター「きゅうのすけ」も紹介された。『刀剣乱舞』には、さまざまな「クダギツネ」のキャラクターが登場している。「きゅうのすけ」は、今回新しい仲間として登場したキャラクターで、声は声優の高山みなみが担当している。

展示は、第1の間「日本刀ってなに?」、第2の間「日本刀ができるまで」、第3の間「日本刀を観察」、第4の間「日本刀を体感」、作刀プロジェクト「今剣」、最後の間「日本刀と未来」といった、6つのエリアにわかれている。

第1の間「日本刀ってなに?」では、日本刀の種類や特徴を紹介。クイズを通して時代・地域・刀工・産地など、基礎知識を学ぶことができる。

第1の間「日本刀ってなに?」より、各地の刀工を刀剣男士とともに紹介しているコーナー

第1の間「日本刀ってなに?」より、戦国武将に関連する日本刀を紹介するコーナー

第2の間「日本刀ができるまで」では、日本刀づくりのうちの5つの工程を、映像などを通して擬似体験しながら学ぶことができる。素材の科学的変化や組成など、科学的な面からの解説も、ミニコラムとして展示されていた。

第2の間「日本刀ができるまで」より、日本刀の原材料「玉鋼」の製鉄を紹介するコーナー

第2の間「日本刀ができるまで」より、刀剣男士「源清麿」と「水心子正秀」のパネル

第3の間は「日本刀を観察」。本物そっくりにつくられた「模型刀」を実際に触りながら、刀の見どころを学べる「日本刀の楽しみかた道場」をはじめ、本物の日本刀を持ち上げたり触ったりできるコーナーや、日本最大級の大太刀である「祢々切丸」=全長324㎝、拵(こしらえ。日本刀の外装のこと)24kg、刀身約10㎏=と同じ重さの模造刀を持ち上げられる一角も。回転する真剣の展示もあり、五感を使って日本刀を体験できるエリアとなっている。

第4の間「日本刀を体感」では、おもちゃの日本刀を実際に振ってみる体験ができる。剣術道場「天然理心流 試衛館」師範の動きをモーションキャプチャーで計測し、刀剣男士の3D映像と掛け合わせる技術を使用。新選組・沖田総司が使用していたとされる日本刀の刀剣男士が、師範の剣術の動きをなぞったお手本を見せてくれる。その後には、実際に襲いかかってくる相手を倒す実戦形式のゲームも楽しめる構成となっている。

第4の間「日本刀を体感」より、剣術のお手本を見せてくれる刀剣男士「加州清光」

会場には、いたるところに『刀剣乱舞ONLINE』の「御伴散歩 きつね装備」がいる

そして最後の間へと足を踏み入れる前には、作刀プロジェクト「今剣(いまのつるぎ)」のコーナーが現れる。源義経の守刀であり自刃した日本刀であるという逸話を持ちながら、物語にしか登場しない架空の存在である「今剣」を、刀匠が想像して作刀。本展で初披露となった。

作刀された「今剣」

刀剣男士「今剣(極)」

最後の間は「日本刀と未来」。はじめに配られるパンフレットに、オリジナルの刃文を描き込み専用の機械に読み取らせると、自分だけの刀剣男士が生まれる体験コーナーのほか、刀剣乱舞作品に関わる声優らが寄稿した「未来へつなぎたい大切なもの」についてのコメントなどを展示している。

最後の間「日本刀と未来」より会場風景

参加者が描いた刃文からオリジナルの刀剣男士が生み出せる展示コーナー

本展オリジナルのグッズも販売されている。

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