7月14~15日に、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されたGTエントラント協会主催のGT300テスト。23台が参加しさまざまなメニューをこなしたが、そのうちの2台は、過去にスーパーGTに参戦していた車両だった。つちやエンジニアリングが走らせたポルシェ911 GT3 Rは横浜ゴムのテストを担ったが、もう一台の300号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、どんな目的で走ったのだろうか。
GTE主催のGT300テストは今季3回行われており、1回目の富士ではつちやエンジニアリングが86 MCを走らせるなど、ふだん参戦している車両とは異なる車両が登場することがある。今回のSUGOでのテストでは、2021年までGT300クラスで活躍していたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが300号車として姿をみせた。プリウスPHV GTはGT300でも特徴的な一台で、ひさびさにその走行シーンが観られたことから、ファンからも多くの声が寄せられた。
2022年からaprが製作したトヨタGR86 GTにその座を譲っていたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、戦いの一戦を退いてからは30号車を支えてきたカローラ三重の本社店舗で展示されていたのだという。2022年以降エンジンも搭載されたままだったが、一度も火が入ることはなかった。
そんな状態だったTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTだが、aprとしては、しばしばミュージアムの展示車両などでも行われている動態確認走行を行いたいと考えていた。そこで、スーパー耐久でaprのレクサスRC F GT3を走らせている永井秀貴がSUGOを得意とすることから、GT300の走行の機会をプレゼントしながら、確認を行おう……というのが今回の参加の理由だった。さらに、ふだんはアールキューズ AMG GT3をドライブしている小山美姫もスーパー耐久ではaprの一員。現在のGTA-GT300規定で作られたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを走らせる経験を積んでもらおうと、テストに起用した。
ただ今回のテストで、スーパーGT用のタイヤを履いて走行してしまってはデータを蓄積することになってしまい、ライバルに対して不公平になってしまう。そこで今回TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、横浜ゴムが販売している市販レーシングスリックのアドバンA005を履いて走行していたのだ。
■永井、小山のふたりが新たな経験を得る そんなパッケージで2日間に渡って走っていたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、スピンしストップするシーンが一度あったものの、トラブルもなく今も高いポテンシャルを備えていることが確認できた。
RC F GT3をはじめ、さまざまなレーシングカーの経験がある永井は、走行後「このクルマを動かしたいという希望があったのと、私がスーパーGT車両に乗ったことがなかったので、このチャンスをいただきました。特性としてはやはりRC F GT3と比べて軽快さがあります」と初めてのGTA-GT300車両を振り返った。
また、小山もRC F GT3、メルセデスAMG GT3をドライブした経験はあるものの、GTA-GT300規定車両は初。「メルセデスもクセがなくて乗りやすいですが、プリウスも乗りやすかったです。今回は自分もまったく経験がないタイヤだったので掴みづらいところはありましたが、ツーリングカーというよりも、フォーミュラ・リージョナルに近いところがあったかもしれません。ただGT300、スーパー耐久に乗らせていただいているので、早い段階で慣れることができました」と語った。