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未成年喫煙で「刑事罰」はある? 五輪辞退・体操女子の宮田笙子さん(19)に「法律違反」の指摘も

2024年07月19日 15:30  弁護士ドットコム

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体操女子のパリ五輪日本代表で主将に選出された宮田笙子さん(19歳)=順天堂大=が、日本体操協会の代表行動規範に違反したとして、代表を辞退したことが発表された。


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日本体操協会は7月19日の記者会見で、本人への聞き取りの結果、喫煙と飲酒行為が発覚したとした。非常にシビアな結果がもたらされた形だが、SNS上では「法律違反」という指摘もある。宮田選手は罰則が科されるのだろうか。



●「厳しすぎる」「愚かなことを」「法律違反」未成年の喫煙めぐり意見飛びかう

体操協会の日本代表選手と役員の行動規範は、「日本代表チームとしての活動の場所においては、20 歳以上であっても原則的に喫煙は禁止する(※2016年度から数年かけて段階的に全面禁止とする)」と定めている。飲酒も同様だが、合宿の打ち上げなどは、監督の許可があれば可能とされている。



SNSでは、宮田さんに対して「厳しすぎる」「愚かなことをした」などと、さまざまな意見が噴出。金メダルも狙えたチームを率いたエースだった。



協会の会見では、宮田さんが聞き取り調査に「競技目標に対して、数々のプレッシャーもあり、そのような行為に及んでしまった」などと回答したことも明らかにされた。



日本では民法改正により、2022年から成人年齢は18歳となったが、喫煙と飲酒については、従前通りに20歳からとされている。



今回、厳しい決断をすることを受け入れざるをえなかった宮田さんだが、19歳以前に喫煙をしていたとすれば、罪にまで問われることはあるのだろうか。西口竜司弁護士は次のように指摘する。



●未成年喫煙をした本人に刑事罰なし…「戒告」が一般的では

——宮田選手の喫煙が認められたと報じられました。



オリンピックまで1週間を切りましたね。そんな中、今回の報道を聞いたとき、「この時期に」という印象を受けました。



未成年者の喫煙を防止する法律として「未成年者喫煙防止法」があります。



この法律では、未成年の喫煙を禁じていますが、処罰されるのは、喫煙をした未成年者ではなく、未成年の親権者や監督者、未成年にたばこを販売した人です。



親権者や監督者が、喫煙を知りつつ制止しなかった場合、制止義務違反として1万円未満の科料が科されます。また、未成年にタバコを販売した人には、販売罪として50万円以下の罰金が科されることになります。



したがって、今回のケースでも宮田選手本人が処罰されることはありません。



——宮田選手の代表辞退をどのように捉えますか。



法的には処罰されないとしても、日本体操協会では内部の行動規範を定めており、内部のルールで未成年者による喫煙を禁止しており、違反すれば処分が科されることになります。



もちろん、一国を代表するわけですから、それなりの対応は必要かもしれませんが、処分については永久追放から戒告まで、さまざまなものが規定されています。



しかし、飲酒と喫煙だけをもって、代表辞退にまでなると行き過ぎている印象はあります。一般的に戒告で終わることが多いと思います。



人生をかけてきた選手のことを考えれば、心苦しいものもあります。いずれにせよ代表に選ばれたみなさん、精一杯頑張ってください。応援しております。




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/