水曜日に行われた事前テストでは、転倒による赤旗が相次ぐ中、Team HRC with Japan Post(高橋巧/ヨハン・ザルコ/名越哲平)が2分06秒119で総合トップタイムを記録した。総合2番手にはDUCATI Team KAGAYAMA(水野涼/ジョシュ・ウォータース/ハフィス・シャーリン)、3番手にはヨシムラSERT Motul(渥美心/アルベルト・アレナス/ダン・リンフット)が続いた。
記録樹立の可能性もいくつか紹介したい。まず、Team HRC with Japan Postの高橋巧に、単独最多優勝記録樹立のチャンスが訪れている。2023年大会の優勝により、宇川徹が持つ最多優勝の5回に記録を並べた最多優勝タイとなった。今大会で優勝すれば、6勝で単独最多優勝となるが、高橋自身は「(自己最多勝利は)結果として付いてくるものだと思っています」とコメント。自分自身の記録更新については、さほど意識していないように見える。
そんな高橋が所属するTeam HRC with Japan Postは、2022年、2023年と2連覇を達成しており、今大会で優勝すれば3連覇となる。また、ホンダとしても30勝の記録がかかっている。そのためゼッケンは『33』ではなく『30』でエントリーしている。
2015年、2016年のMoto2チャンピオンでホンダ・カストロールLCRからMotoGPに参戦するヨハン・ザルコがTeam HRC with Japan Postから参戦することが、大きな話題を呼んでいる。また、Moto2ライダーのバリー・バルトゥスがAutoRace Ube Racing Teamより、同じくMoto2ライダーのマリオ・アジがSDG Team HARC-PRO. Hondaから参戦することとなり、6月19~20日に行われた事前テスト2回目よりチームに合流している。
また、ヨシムラSERT Motulと同じく日本のチームであるF.C.C. TSR Honda France(ジョシュ・フック/マイク・ディ・メリオ/アラン・テシェ)は今回から2024年型のホンダCBR1000RR-Rに乗り換える。6月の事前テストは不参加であったが、シェイクダウンも兼ねた水曜日のテストでは総合5番手と好発進だ。
その他、昨年のチャンピオンチームのYART – YAMAHA(ニッコロ・カネパ/マービン・フリッツ/カレル・ハニカ)、BMWワークスチームのBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(マーカス・ライターベルガー/シルバン・ギュントーリ/イルヤ・ミハルチク)、フランスと日本の合同チームであるカワサキのKawasaki Webike Trickstar(グレゴリー・ルブラン/クリスチャン・ガマリーノ/ロマン・ラモス)など、役者は揃っている。それぞれのチームの走りを見るのが楽しみだ。
昨年はNST(ナショナル・ストック)クラスとして鈴鹿8耐独自のクラス分けとなったSSTクラスが今年は復活する。フル参戦組からは日本のTeam Étoileはもちろんのこと、WÓJCIK RACING TEAM 777、NATIONAL MOTOS HONDA FMAが参戦してくる。
また、国内の注目チームといえば、DUCATI Team KAGAYAMA(水野涼/ジョシュ・ウォータース/ハフィス・シャーリン)が挙げられる。今年、加賀山就臣監督によりドゥカティワークス仕様のパニガーレV4 Rが『黒船襲来』と銘打って全日本ロードレース選手権と鈴鹿8耐に持ち込まれた。ドゥカティファクトリーマシンでの耐久レース参戦は初となるため、レースでの走りは未知数となるが、事前テスト2回目ではトップタイム、水曜日の事前テストは2番手と、本番が楽しみになる走りを見せている。しかし、燃費は他チームと比べて良くないようで、どのような戦略が採られるかは決勝までわからない。
その他の注目点に触れると、AutoRace Ube Racing Teamが秋元康プロデュースのアイドルグループ『WHITE SCORPION』と行うコラボレーションも見逃せない。同グループは『8フェス! LIVEステージ』に出演するほか、チームのナイトピットウォークにも搭乗を予定している。また、トップ10トライアル出走時には『WHITE SCORPION』の楽曲を流し、メンバーの顔写真が入ったスペシャルカラーリングで走行するという。昨年のスズキMotoGP復活カラーリングに続き、今年もサプライズを用意しているAutoRace Ube Racing Teamに注目だ。