2024年07月18日 16:50 弁護士ドットコム
東京拘置所に収容されていた受刑者に、弁護士がノートを差し入れようとしたところ、「法令の規定」で受け付けることができないとして、拘置所に拒否されていたことがわかった。弁護士が拘置所側に確認すると、指定業者で取り扱っているノートなら「差し入れ可能」という回答があったという。弁護士は容認できないと話している。
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差し入れを拒否されたのは、第二東京弁護士会の櫻井光政弁護士。東京拘置所に収容されている受刑者(当時)に大学ノート(コクヨのキャンパスノート)2点を受刑者宛てに郵送したところ、東京拘置所から7月2日付の文書で拒否されたという。
この文書には、法令の規定により受け取ることができず、一定の期間までに引き取らない場合は処分すると記されていた。櫻井弁護士が電話で確認すると、東京拘置所は「刑事収容施設法46条1項5号」(*)を根拠として挙げたという。
この条文は要するに、収容されている人が「自分の金で買って使用できるとされている物品以外の物品」に関して、刑事施設長(東京拘置所長など)は、差し入れた人に引き取りを求めるという内容だ。
櫻井弁護士は7月18日、弁護士ドットコムニュースの取材に「びっくりした」と口にしたうえで、拘置所側が拒否した根拠について「合理性がなく、無用な制限だ」と批判。国家賠償訴訟も検討していると話した。
この取材のあと、櫻井弁護士が再び東京拘置所に連絡したところ、指定業者(のノート)ならできるという回答があったという。櫻井弁護士は自身のXに「それ以外駄目な根拠を尋ねたところ、施設管理権に基づくとのことでした」と投稿している。
東京拘置所は、弁護士ドットコムニュースの取材にも「ノートは差し入れはできるが、東京拘置所の指定した業者で取り扱っているものに限る」と回答。刑事施設収容法の管理運営や、施設の規律秩序維持にその理由があると説明した。
(*)刑事収容施設法第46条1項:刑事施設の長は、第44第3号に掲げる現金又は物品が次の各号のいずれかに該当するときは、その現金又は物品を持参し、又は送付した者(以下「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。第5号:自弁により使用し、若しくは摂取することができることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品(以下「自弁物品等」という。)以外の物品であるとき。刑事収容施設法第44条:刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。 第3号:被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金及び物品