Text by CINRA編集部
『第171回芥川龍之介賞』『第171回直木三十五賞』が発表された。
『第171回芥川龍之介賞』受賞作は朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』と松永K三蔵『バリ山行』。『第171回直木三十五賞』には一穂ミチ『ツミデミック』が輝いた。
医師として勤務しながら小説を執筆している朝比奈秋は、2021年に『林芙美子文学賞』でデビュー。2023年に『植物少女』で『三島由紀夫賞』、同年『あなたの燃える左手で』で『泉鏡花文学賞』『野間文芸新人賞』を受賞した。『サンショウウオの四十九日』は「結合双生児」という特殊な形態で出生した姉妹を主人公に生の多様さと人生の普遍を描いた作品。
松永K三蔵は2021年に『カメオ』で『群像新人文学賞』優秀作を受賞しデビュー。『バリ山行』のあらすじは、古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に転職して2年の波多は登山部で親睦目的の気楽な活動をしていたが、やがて職人気質で変人扱いされ孤立しているベテラン社員・妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知るというもの。
一穂ミチは2007年に『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。『イエスかノーか半分か』シリーズなど多数著作があり、2021年に『スモールワールズ』で『吉川英治文学新人賞』を受賞した。『ツミデミック』には渦中の人間の有様を描いた全6話を収録。