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石丸伸二氏の「一夫多妻制」発言が波紋、SNSでは批判の嵐 導入したら予想されるこれだけの「リスク」

2024年07月17日 10:50  弁護士ドットコム

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都知事選に出馬して一躍注目を集めた安芸高田市の元市長、石丸伸二氏がテレビ番組で「一夫多妻制」に言及したことで、波紋を呼んでいる。


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この発言は、7月14日に放送された「そこまで言って委員会NP(読売テレビ)の中で飛び出した。



兵庫県明石市の元市長、泉房穂氏から日本をどう変えていきたいか? と問われた石丸氏は、人口減少の対策として「一夫多妻制を導入するか、遺伝子的に子どもを生み出す」と発言。



続けて「そこまでやらないと人口減少が止まらない」「それをやろうとは思っていない」として、あくまで「たとえ話」ではあるものの、少子化対策がそれほど難しいものであると語った。



この発言が報じられると、SNSでは「女性を産む機械扱いしている」「時代錯誤も甚だしい」との声が上がっている。現行法で「一夫多妻」は認められていないが、内縁関係などにより、事実上の一夫多妻関係を築いてしまうケースはあるかもしれない。その場合、どのような法的リスクがあるのか。冨本和男弁護士に聞いた。



●現行法では重婚罪に

なんらかの方法で複数の妻と結婚、すなわち「重婚」をした場合、どのような法的問題があるのだろうか。冨本弁護士は次のように指摘する。



「刑事上の責任としては、重婚罪(刑法184条)に問われることになります。重婚罪は、一夫一婦制という日本の婚姻制度を保護法益とする犯罪です。重婚罪を処罰の対象とすることによって、相手方配偶者やその家庭を保護するという機能もあると言われています。重婚罪に当たる場合、2年以下の拘禁刑となります」



重婚となった複数の配偶者は、どうなるのだろうか。



「民事上は、後婚について取消しの対象となります。後婚の当事者、その親族、検察官または前婚の配偶者から、後婚の取消しを裁判所に請求することができます(民法744条)」



●「一夫多妻制」で生じる「困難」

関係者全員の合意の下、現行法で“一夫多妻”を強行する場合、全員と法律婚しないケースや、第一夫人とだけ法律婚し、第二夫人や第三夫人は実質的な「内縁の妻」とする方法などで、実質的に“一夫多妻”を強行することが考えられる。しかしその場合、法的な保護を受けることは可能なのだろうか。



「重婚できない以上、複数人を“法律上の妻”や“内縁の妻”として認めることはできません。



そのため、一人と法律婚していた場合には、第一夫人は相続できるが、第二夫人以降やその子どもは基本的に相続できないことになります。これを防ぐためには、遺言書を残すか、夫が第二夫人以降と養子縁組をしたり、その子どもを認知したりすることが必要です。



遺族年金については、内縁関係の配偶者も受給できるとされています(厚生年金法59条1項、3条2項)。ただし、遺族年金については優先順位があるので(厚生年金法59条2項)、第一夫人との間でも婚姻関係の実体がある場合、法律上の妻である第一夫人にのみ遺族年金の受給が認められ、第二夫人以降やその子どもには認められないと考えられます」



現状の日本では、法的な保護が十分に得られず、当事者には厳しい「一夫多妻制」。冨本弁護士はこう懸念を示す。



「色々なリスクがあるかと思いますが、最も揉める可能性が高いのは相続です。一夫多妻の家庭では、当事者が多いわけですから、相続で相当紛糾することになるでしょう」




【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp