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ついに4K撮影&Appleの"探す"に対応 最高に手軽な超小型アクションカム「Insta360 GO 3S」実機レビュー

2024年07月16日 12:21  ITmedia PC USER

ITmedia PC USER

今回レビューする「Insta360 GO 3S」

 今や360度全天球カメラの代名詞となりつつあるInsta360──その異色作が「Insta360 GO」シリーズです。指先サイズのボディーに超広角レンズとカメラセンサー、そしてマグネットを内蔵し、さまざまな場所に固定して自由なアングルで撮影できる独自スタイルのアクションカムです。


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 6月13日に発売した最新モデル「Insta360 GO 3S」は、2023年7月に発売した「Insta360 GO 3」のマイナーチェンジモデル……なのですが、見た目はそっくりでも高画質化&高性能化によって、従来機のユーザーでも買い替えたくなる魅力があります。


●合体分離機構をもったオモシロアクションカム


 Insta360 GO 3Sの価格は64GBモデルが6万1800円、128GBモデルが6万5800円(いずれも税込み)です。アクションカムとしては高価ですが、それには理由があります。マグネットマウントのカメラ本体と、チルト式タッチディスプレイがついた充電ケース兼アクションポッドが分離する独自設計のカメラだからです。


 本体の前面にディスプレイを持つアクションカムが増えていますが、いずれもその画面サイズは指先くらいで見づらいこともあります。大きな背面ディスプレイを前に向けて撮影範囲を確認できるInsta360 GO 3Sは、もっとも自撮りがしやすいアクションカムだと断言できます。


 カメラ本体をアクションポッドに収めた状態でも、取り外しても撮影ができます。便利なのは、取り外した状態でもカメラの画角をアクションポッドのディスプレイで確認できるところです。ワイヤレスで映像を伝送するため、アクションポッドをリモコン&モニターディスプレイとして使うことができます。


 Insta360 GO 3SはmicroSDメモリーカードなどのメモリーカードスロットがなく、本体内部のストレージにしか動画/写真を記録できません。ある程度データがたまってきたら、有線またはワイヤレスでデータをスマホやPCに移し替える必要があります。


 Wi-Fiは「802.11a/n/ac」に対応しています。ワイヤレスでの通信速度は決して速いものではありません。撮影後すぐSNSなどにアップロードしたいときはスマートフォンを使いますが、日々の撮影データの保管にはPCを使いたいところ。PCとInsta360 GO 3SをUSBケーブルで接続し、専用編集ソフトであるInsta360 Studioで読み込ませましょう。


 アクションポッドのクイックボタンと、Insta360 GO 3本体下側にあるGO 3ボタンは、アクションポッドのメニューから呼び出す機能/設定を変更できます。お気に入りの撮影モードをセットすることで、すぐに撮影に入れる仕組みになっています


●ハンズフリー撮影ができるアクセサリーが付属


 採用しているセンサーに関して詳細な情報は公開されていませんが、レンズはInsta360 GO 3が搭載していたフルサイズ換算11mm/F2.2から、16mm/F2.8へと変更されました。超ワイドだった旧モデルと比較して、被写体や景色に1歩近づくフレーミングが特徴といえます。


 動画解像度は2.7K/30fps(Insta360 GO 3)から、4K/30fps(Insta360 GO 3S)にアップ。タイムラプスやタイムシフト、スローモーション撮影時も高解像化または高フレームレート化を実現しています。動画ビットレートも80Mbps→120Mbpsに向上し、写真の解像度も4000x3000ピクセル(4:3)となりました。


 本体サイズと質量は奥行きがわずかに拡大しています。


・Insta360 GO 3:25.6(幅)×54.4(奥行き)×23.2(高さ)mm、重さ35.5g


・Insta360 GO 3S:25.6(幅)×54.4(奥行き)×24.8(高さ)mm、重さ39.1g


 なおアクションポッドのサイズはInsta360 GO 3と同一です。というかファームウェアを書き換えれば、Insta360 GO 3のアクションポッドをInsta360 GO 3Sで使うことができます。同じものということですね。


 残念ながら撮影可能時間は本体のみで45分→38分、アクションポッド込みで170分→140分へと前モデルからダウン。なおバッテリー容量は同一です。


 Insta360 GO 3本体のみで撮影する際は、付属の磁気ペンダントや簡易クリップにInsta360 GO 3本体をつけた上で、または鉄扉などにくっつけてから録画ボタンを押しましょう。指で持っても良いのですが、滑って落としてしまう危険性があるので要注意です。


 磁気ペンダントや簡易クリップを使うことで、手軽にハンズフリー撮影ができるのは評価点高め。Insta360 GO 3本体とアクセサリーの組み合わせは一般的なアクションカムより軽量なので、身体に装着しても動きやすいというメリットがあります。


 三脚に固定して定点カメラとして使ったり、一脚/自撮り棒につけてアングルを変えながら撮影したりするときは、付属のピボットスタンドを使いましょう。


 アクションポッドとピボットスタンドは2つのツメで固定します。前後の向きが正しければ装着時は近づけるだけで固定できますが、外すときはピボットスタンド左右のボタンを押してツメを広げてから離しましょう。


●紛失しても大丈夫。iPhoneなどから探せます


 Insta360 GO 3Sの新機能の1つであり、「待ってました!」と拍手を送りたいのが、Insta360 GO 3S本体の現在地を探せる機能です。iPhoneの「探す」アプリにセットすれば、もしInsta360 GO 3S本体を草むらなどに落としたとしても、音を鳴らして探し当てられます。


 小さくて自由度が高い反面、紛失しやすいというデメリットもあったInsta360 GOシリーズですが、iPhone、iPad、Macユーザーしか使えない機能とはいえ、現在地を確認できるようになったことは、大きな進化といえますね。


●4K解像度がもたらす安心の高解像性能


 それではInsta360 GO 3Sの画質をチェックしていきましょう。


 まずは新たに対応した4Kでの撮影をしてみました。磁気ペンダントを使い、胸元に固定して撮影しました。なお傾き補正機能をオンにしており、水平を出しています。


 フレームレートを30fpsにしているためライト類のチラツキが目立ちますが、映像そのものはシャープで見栄えがいいものです。


 日が落ちてからアクションポッドと三脚をつけ、同じく4K/30fpsで撮影しました。露出はオートの設定のままです。ISO値を確認できなかったのですが、映像にザラつきはあれど、暗い場所もしっかりと記録しています。


 Insta360 GO 3で好評だったFreeFrame動画モードも4Kに対応しました。スマートフォンのInsta360アプリまたは、PC用のInsta360 Studioで後処理をする必要がありますが、Insta360 GO 3Sをいくら動かしても水平を保ってくれる水平ロック機能が使えます。


 注意点としてはアスペクト比が4:3一択となること。そして水平ロック機能を選択すると大幅なクロップを行うために画角が狭くなることでしょうか。


 移動しながらのタイムラプス動画が作れるタイムシフトも以前から好評な機能の1つです。こちらも4Kに対応しました。


 スローモーション動画は2.7K/100fpsまたは1080p/200fpsが選択できます。この動画はより空気に粘度を感じる1080p/200fpsのもの。またInsta360 Studioで水平ロックも行っています。


 画質は甘くなりますが、胸に固定した指先サイズのカメラで本格的なスローモーション動画が撮れるのは、面白さしか感じません。


 暗い場所で歩きながら撮影するときは、ジッターブラー低減機能を使いましょう。縦方向のブレが低減し、見やすい動画になります。


●ハレの日も普通の日も記録したくなるカメラ


 2023年に前モデルのInsta360 GO 3を使ってみたとき、これはアクションカムの1つの完成形であると感じました。指先サイズの小型カメラは“ライフスライスカメラ”として使えるので、自分も気づいていなかった日常の何気ないシーンを撮るのに最適だと感じたからです。


 しかしInsta360 GO 3Sを使ってみて、やはり高解像性能は必要だったんだ、と感じる自分に気が付きました。調子がいい、と言われかねないのですが、クロップ耐性がある、つまり水平ロック機能を使っても画質劣化が感じにくいInsta360 GO 3Sこそ、日々を記録するのに最適です。


 本体だけで10m防水も実現、交換可能なレンズガードも装備している。アクションカムとしての素性も良いInsta360 GO 3S──この夏の思い出をこのカメラで残していきませんか。