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2024年中に、64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給する資格が発生します。在職老齢年金は48万円が支給停止調整額になるのですか?

2024年07月14日 18:31  All About

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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、在職老齢年金についての質問に、専門家が回答します。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に回答します。

今回は、在職老齢年金についての質問です。

Q:2024年中に、64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給する資格が発生します。在職老齢年金は48万円が支給停止調整額になるのですか?

「1960年9月生まれの男性です。2024年中に、64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給する資格が発生します。約1年の特別支給分を受給した後に、65歳以降の老齢厚生年金を繰り下げすることは可能でしょうか。またこの場合、特別支給の老齢厚生年金部分での在職老齢年金制度の支給停止調整額は48万円が基準となるのでしょうか? もしくは50万円でしょうか?」(クリさん)

A:令和6年度の在職老齢年金の支給停止調整額は50万円です

老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、原則65歳から受給できますが、一定の要件を満たした人は65歳になる前に、特別支給の老齢厚生年金を受給できます。

ただし、60歳以降、厚生年金に加入して給与収入を得ると、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の月額と、給与収入など(総報酬月額相当額)の合計が、ひと月あたり50万円(支給停止調整額)を超える場合には、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の一部または全部が支給停止になります。これを在職老齢年金制度といいます。令和6年3月までは支給停止調整額は48万円でしたが、4月から50万円に増額しています。50万円を超えた額の2分の1が毎月の年金額から差し引かれます。

例えば、64歳で特別支給の老齢厚生年金が90万円(月額7万5000円)で年収600万円(総報酬月額相当額50万円)で働いている場合を計算してみましょう。

在職老齢年金調整額={(7万5000円+50万円)-50万円}÷2=3万7500円
7万5000円-3万7500円=月額3万7500円

したがって支給される特別支給の老齢厚生年金は月額3万7500円になります。在職老齢年金の支給停止調整額50万円を超えない場合は、特別支給の老齢厚生年金は全額支給されます。

最後になりますが、ご質問いただきましたように、約1年の特別支給の老齢厚生年金を受給した後に、65歳以降の本来支給の老齢厚生年金を繰り下げすることは可能です。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))