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「Echo Spot(2024年発売)」はスマートスピーカーでもなければスマートディスプレイでもない! 時計利用にフォーカスした新モデルを試す

2024年07月11日 13:41  ITmedia PC USER

ITmedia PC USER

新型「Echo Spot」。グレーシャーホワイト(左)とブラック(右)に、オーシャンブルーを加えた3色を用意する

 アマゾンジャパン(Amazon)から、新しい「Echo Spot」が登場した。2018年に発売された同名モデルと同じく、球体に近いボディーが特徴で、液晶画面を使って時計表示などが行える。同社ではスマートスピーカーやスマートディスプレイではなく、“スマートアラームクロック”と称している。


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 今回は筆者が購入した実機と、メーカーから借用した機材の色違い計2台を用いて、レビューをお届けする。


●球体を半分にカットした旧モデル譲りのデザイン


 旧モデルのEcho Spotは、球体を半分にカットしたようなボディーが特徴で、さらに画面そのものも円形という、かなり“攻めたデザイン”を採用していた。もっとも、そのせいで画面の四隅が隠れてしまうなど、デザインに機能が追いついていないちぐはぐさもあった。


 本製品は、球体ベースのボディーデザインを継承しているものの、画面に相当するのは円の上半分のみで、下半分はスピーカーになっている。野球ボール以上、ソフトボール未満というサイズ感は変わらないが、どちらかというとスマートスピーカーの「Echo Pop」に画面を追加したかのようなデザインだ。


 また、画面も円の上半分が全て表示領域というわけではなく、その半円に占める長方形部分が有効な表示領域となっている。背景色が黒いので境目の区別が付きにくいが、画面サイズは2.83型ということで、おおむねフィーチャーフォン(ガラケー)並だ。解像度も320×240ピクセルということで、表示できるコンテンツは限られる。


●セットアップはスマホで行う アクションボタンは非搭載


 本体上部にはおなじみのミュートボタンと、音量の大小ボタンを搭載する。Echo Popで省かれたアクションボタンは、本製品でも採用されていない。


 音声で呼び掛けると、画面下に応答中であることを示す青色のバーが表示され、ミュート時はバーが赤色に、おやすみモードをオンにすると紫色へと変化する。こういった基本的な挙動は、従来のEchoシリーズのそれを踏襲している。


 セットアップは、スマートフォンのアプリで行う。フローは従来と大きく変わっておらず、過去にAlexaデバイスをセットアップした経験があるユーザーはもちろん、全くの初心者であっても苦労しそうな点は見受けられない。


 設定項目については、従来のEcho Showなどと大きくは変わらない。一部なくなっている機能については、この後に詳しく見ていく。


●ホームコンテンツは非搭載 目覚まし時計としての利用に最適


 さて本製品は、スマートスピーカーやスマートディスプレイではなく、スマートアラームクロックという独自の名称が付けられている。なぜ呼び名が異なるのか、それは使ってみればすぐに分かる。一言でいうと、時計表示に特化した設計だからだ。


 この時計機能は、デザインは6種類から、ディスプレイカラーは6種類から選択でき、アラーム音も4種類が用意されるなど、カスタマイズ性に優れている。天気の表示もサポートしているので、目覚まし時計の代わりとしてベッドサイドに置くにはうってつけの存在だ。


 一方で画面は時計表示に特化していることから、時計以外のコンテンツの表示、具体的にはEcho Showではおなじみの写真表示などには対応していない。このように、スマートディスプレイでは当たり前の機能がない場合があるので気をつけたい。


 時計表示に関連して、Echo Showとの大きな違いとして、ホームコンテンツが省かれていることが挙げられる。「Alexaからの提案」や「おすすめの商品」「スキル」「今日の新発見」などさまざまな情報を画面上で絶えず表示するホームコンテンツは、Echo Showではおなじみの機能だが、ほとんどの機種では完全にオフにできず、時計だけを常時表示することを難しくしていた。


 しかし、本製品は設定画面を見ても「ホームコンテンツ」という項目自体がなく、時計表示のまま画面をキープできるので、本製品が視界内にあっても、画面が頻繁に切り替わって注意力を削がれることもない。これならば、ベッドサイドでも安心して置いておけるだろう。ちなみに先日発売の「Echo Hub」でも非搭載だったので、同社側で何らかの方針変更があったのかもしれない。


 この他にも、本製品はスマートホームの共通規格であるMatterに対応しており、超音波モーション機能を使い、室内に入ったら自動的に照明をつけるなどの定型アクションと組み合わせての利用も行える。このあたりの拡張性の高さは、Echoシリーズならではだ。


●Echo Showから省かれた機能を知って本製品を理解する


 この他にも、本製品は従来のEcho Showなどには装備されていながら、省かれている機能がいくつかある。Echo Showの特徴が頭の中に入っている人にとっては、本製品の機能を1つ1つ見ていくよりも、むしろこれら省かれている機能を確認した方が、本製品のアウトラインを正しく理解できるだろう。それらを順にチェックしていこう。


 1つはカメラ機能だ。Echo Showといえば、本体にカメラを内蔵することでビデオ通話を行え、外出先から自宅内の様子を確認する簡易ネットワークカメラとしても利用できるのが特徴だが、本製品はカメラを搭載しておらず、こういった用途には利用できない。この他にも、ホームネットワーク上のカメラのビューアとして利用する機能もない。


 もっとも、ビデオ通話を一切使わないユーザーにとっては、カメラはプライバシー面で不安を抱かせる存在であり、それゆえAmazon自身も、カメラを物理的に覆うためのシャッターを搭載したり、アプリからの閲覧時はその旨を画面に表示したりと、かなり気を配っている様子が伺えた。カメラ自体が省かれている本製品は、そういった意味で安心だ。


 もう1つは、ストリーミング動画の再生機能だ。Echo ShowではプライムビデオやYouTubeなど、動画配信サービスの再生が行えたが、本製品は非対応だ。ガラケー並の小さな画面であることを考えると、これは当然と言えば当然だろう。また再生中の楽曲の歌詞を表示する機能が用意されていないのも、同様の理由だと考えられる。


 このように省かれている機能を書き出すと、Echo Showと比べてずいぶんと機能に乏しいように感じるかもしれないが、どちらかというとエントリー向けのスマートスピーカーであるEcho Popをベースに、時計表示などに使える最小限の画面を追加した製品と見なした方が正確だろう。カメラや動画再生を求めるならば、本製品ではなくEcho Showを買えばよいだけの話だ。


●使用感は快適 破格のセール価格に注目


 以上、ざっと使ってみたが、時計表示と音楽再生を中心に快適な利用が可能だ。省かれている機能はあっても、使いづらい部分はなく、購入を避けたくなるような箇所もない。中でも、筆者のようにEcho Showでのホームコンテンツの表示に辟易していたユーザーにとっては、ホームコンテンツ自体が省かれているのは歓迎すべきことだ。


 また注目すべきなのは、2024年7月のプライムデーにおける本製品のセール価格だ。本製品は標準価格こそ1万1480円とやや割高だが(個人的には1万円ちょうどくらいが妥当に感じられる)、7月16日~17日に開催されるプライムデーまでは、48%OFFの5980円という、半額に近い価格で提供される。


 これは画面のないエントリー向けのEcho Popの通常価格と同じで、とんでもない価格破壊力だ。今後のセールで同レベルの値引きが行われるとは限らないだけに、興味がある人は今回ゲットしておくべきだろう。