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「きぬた歯科」に対するヤフコメ、二審も「名誉毀損」認定…歯科医の男性に賠償命じる

2024年07月11日 13:10  弁護士ドットコム

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東京都八王子市の「きぬた歯科」院長が、ニュースサイトのコメント欄に書き込まれた内容で名誉を傷つけられたとして、都内在住の歯科医の男性を相手取り、3333万円の損害賠償を求めた訴訟。東京高裁はこのほど、43万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決は7月3日付。


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原告は、きぬた歯科の院長、羅田(きぬた)泰和さんで、自分の顔写真を使った看板広告で知られている。原告側によると、今回の裁判で被告となった男性に対しては、2023年12月7日に名誉毀損罪で罰金20万円の略式命令が出されているという。



羅田さんは「誹謗中傷は原告、被告双方になんら利益をもたらしません。お互いが疲弊するだけです。ネットには、いまいちど冷静になってから書き込みする事をお勧めいたします」と取材にコメントした。



きぬた歯科は、他にもネット上の投稿を問題とした名誉毀損訴訟に取り組み、その3分の1以上は「同業者によるもの」だとしている。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)



⚫️匿名の投稿からたどりついたのは歯科医師だった

判決文などによると、2021年10月、羅田さんの発言を取り上げた記事がYahoo!ニュースに配信されて、そのコメント欄に「K歯科からの不良症例をたくさん診てきた歯科医師として一言。インプラントは埋入すれば終わりじゃなく、その後、ちゃんとメインテナンスをしてこそのもの」などと書き込まれた。



このコメントを問題視した羅田さん側は、発信者情報の開示請求手続きをすすめ、都内の大学病院関係施設から投稿されていることなどを特定。歯科医の男性にたどりついて、2023年4月に損害賠償を求める裁判を起こした。



同年12月6日の東京地裁判決(伊東正晴裁判官)は、男性による投稿が「きぬた歯科では長期予後にかかる治療計画が不十分で、インプラント埋入後のメンテナンスも十分ではないという事実を示した」として、原告の社会的評価を低下させたと判断。損害賠償43万円の支払いを命じた。



羅田さん側は賠償額を不服として控訴したが、2024年7月3日の東京高裁判決(中村也寸志裁判長)も1審・東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。羅田さん側は、上告はしないとしている。



⚫同業者を相手にした名誉毀損裁判は他にも

裁判を通じて、名誉毀損が認められたことを受けて、羅田さんは弁護士ドットコムニュースの取材に次のように答えた。



「歯科医師を名乗り、きぬた歯科が、トラブルを多数抱えているとの虚偽の書き込みは、医療に携わる者として非常に悪質だと考えます。また本人も裁判の中で書き込みが真実だとは主張しませんでした。すべてウソであることを認めたと言ってよいでしょう」



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