WEC世界耐久選手権のハイパーカーカテゴリーにおける現在のホモロゲーション期間が延長されたことを受け、トヨタはGR010ハイブリッドを使用する残りの期間について、追加の『エボ・ジョーカー』の使用許可を求める可能性があることを示唆した。
2021年のカテゴリー創設以来、トヨタはGR010ハイブリッドで参戦を続けており、現在はこの車両の4シーズン目を迎えている。
トヨタは2021年の参戦開始以来、車両のホモゲーションサイクル全体を通じてメーカーに使用が認められている5つのエボ・ジョーカーのうち、少なくともひとつを使用したことが知られているが、正確な数は明らかにされておらず、FIA国際自動車連盟やACOフランス西部自動車クラブによる情報公開もされていない。
そんななか、先月のル・マン24時間レース決勝を前に、現行のLMH(ル・マン・ハイパーカー)およびLMDh規則車両のホモロゲーション期間が2029年まで延長され、2028年と2029年に使用できるジョーカーがふたつ追加されることが発表された。
これは、トヨタが強い関心を示している待望の水素カテゴリーが、2028年までル・マンでデビューしないというニュースと同時に発表されたものだ。
トヨタのチームディレクターを務めるロブ・ロイペンは、Sportscar365に対し、ケルンを拠点とするチームが、新型車を使用するライバルに遅れを取らないよう、2028年までにさらなるジョーカーを要求する可能性を示唆した。
GR010ハイブリッドの競争力を維持するのに充分なジョーカーが残っていないことに懸念があるかと尋ねられたロイペンは、「彼らが(規則を)延長するにつれて、おそらく交渉する必要があるだろう。我々のクルマは、はるかに古いからだ」と答えた。
「我々は、パフォーマンスのために追加で何かをしたわけではない。他の部分をもっと調整する必要があるかもしれない」
「これについては我々の技術チーム、デビッド・フルーリーと彼のチームが検討し、どこに向かうかを見ていく。だが、ある時点では、いくつかのジョーカーを使う必要がある」
ロイペンは、水素クラスの導入を2028年まで延期するというFIAの決定を支持したが、このクラスは当初2024年の開始が予定されていたため、このカテゴリーの導入が延期されるのはこれが最後になることを望んでいると述べた。
「(FIAテクニカルディレクターの)ザビエル・メステラン・ピノンの発言に耳を傾ければ、驚くことではない」とロイペンは述べた。
「我々はこれを非常に注意深く聞いており、これは考慮する必要があることだ」
「これ以上延期するべきではないと、私は思う。良いことは、現在の車両をあと2年間長く走らせることができることだ。私の理解では、これはFIAとACOが水素の導入を遅らせたことに対する回答だ」
「水素でレースをする場合、インフラに対して行う必要がある変更の量は膨大なものだ。したがって、この観点からすると、導入延期は理にかなっている」