マンション価格の高騰と平均年収の横ばいという現状から、リノベーションに注目が集まっている。パナソニック ハウジングソリューションズは市場調査結果をもとに、リノベーションにおける新しいトレンドと消費者のニーズについてメディアセミナーを実施。合わせてマンション向けのバスルーム「MR」を刷新し、拡大するマンションリノベーションニーズに応える。
リノベーション市場について、パナソニック ハウジングソリューションズ 水廻りシステム事業部マーケティング統括の窪井健司氏は、「住宅価格が高騰する一方で平均年収はほぼ横ばいを続けていることから、多くの消費者が住宅購入に予算的な厳しさを感じています」とする。価格を抑えるために専有面積の狭小化も進んでおり、住宅設備にかけられる予算も限られてきているという。
マンション市場に目を向けると、リフォーム適齢期に入った物件が300万戸に達し、フラット35(住宅ローン)の利用者数は減少しているものの、中古住宅購入のフラット35利用が倍増しているとのこと。リノベーションの需要は引き続き高まりそうだ。
パナソニック ハウジングソリューションズが行ったリノベーション実態調査によると、1,000万円以上のリノベーション予算を確保している人が21%で最も多い結果となった。窪井さんはこれに対し、「限られた予算の中で、リノベーション費用をかけて自分らしい住まいを作ることに予算をかける人が多い」と分析している。
では、どこに予算をかけているのだろう。近年のリノベーションで重視されているのは「デザイン性」「間取りや生活家事動線」「耐久性」の3つ。
ただリノベーションの計画・設計段階では、自分が実現したい部屋のイメージを具体化することに苦戦したという声が多いという。窪井さんによると「消費者はデザインやスタイルの選択に苦労し、予算とのバランスを取ることが難しいと感じています。特に、水廻り設備にもう少し予算を割けばよかったとの声が多く、リノベーション後の満足度でもデザインや予算オーバーに対する不満が大きいことが分かりました」とのこと。
確かに、なんとなくこんなテイストの部屋にしたいと思っても、いざ建具の色合わせをどうするか、素材をどう選ぶか、手持ちの家具との相性などを考えると、決めることはたくさんある。例えば壁紙や床材の小さなカラーサンプルだけでは、部屋全体の配色バランスや出来上がりをイメージするのは難しく、予算を考えながら1つずつ選んで決定していくのは大変だ。
○住まいを自分のイメージどおりに編集・実現するために、診断を利用
こうした調査の結果を受けて、パナソニック ハウジングソリューションズはユーザーのライフスタイルにフィットする住まいを実現する「Life Style Fit」診断を導入。7つのインテリアスタイルと6つのライフスタイルの組み合わせから、ユーザーが好みのリノベーションをプランニングできるようにしている。
具体的には、簡単な質問を通じてユーザーの好みや生活スタイルを特定し、それをイメージするキーワード、小物、素材、カラー、仕上げ、空間イメージといった推奨仕様を紹介。キッチンやバスといった水廻りの設備、建材、床材の組み合わせも確認できる。
○マンション向けのパナソニックバスルーム「MR」をシンプルに刷新
これに合わせて、パナソニック ハウジングソリューションズはマンション向けのバスルームをリノベーション向けにリニューアルし、「MR」シリーズとしてリリース。壁柄のラインナップを刷新して「マーブル柄」3色、「木目柄」1色、「ソリッドカラー」3色など計11色を追加したほか、鏡やカウンターをオプションにしたシンプルな構成だ。これにより、施工期間を短縮して予算も従来比で約10%抑えた。
簡単な質問に答えるだけで自分の好みやライフスタイルにあったプランを見つけられるため、リノベーションがプロセスからより楽しくなるだろう。多様なニーズに対応する豊富な選択肢が、バス、キッチンだけでなく床材や扉などでも用意されており、より理想に近づけられる。
余談だが、取材の帰りに「パナソニックショールーム横浜」を訪れたところ、平日昼間にもかかわらず見学や商談に訪れる人たちで盛況だった。自分らしい暮らしを実現・編集するために、リノベーションをプロセスから楽しむ人は今後も増えそうだ。
伊森ちづる 家電・家電量販店ライター。家電量販店の取材や家電メーカーの取材、家電製品のレビューを中心に活動。売り手、メーカー、ユーザーという3つの視点で家電を多角的に見るのが得意。雑誌、ニュースサイト、ラジオ、シンクタンク、自治体での情報提供など、多方面で活躍中。最近は、テクノロジー×ヘルスケア、テクノロジー×教育などにも関心あり。趣味は音楽鑑賞(クラシック)とピクニック。 この著者の記事一覧はこちら(伊森ちづる)