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シーズン中のペレス解雇の可能性がささやかれるレッドブルF1。問題は理想的な後任候補の欠如か

2024年07月10日 17:50  AUTOSPORT web

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2024年F1第12戦イギリスGP セルジオ・ペレス(レッドブル)
 F1の現場で今最もホットな話題のひとつは、セルジオ・ペレスが今シーズン後半もレッドブルにとどまることができるかどうかだ。レッドブル代表クリスチャン・ホーナーも、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコも、「ペレスは、ポイントを獲得しない状態を継続してはならない」と認めている。

 ホーナーは、「我々にとっては、チェコに上位にいてもらう必要がある。マックス(・フェルスタッペン)をサポートし、我々が今年もコンストラクターズ選手権を制する助けになってもらいたいからだ」とコメントした。

「シルバーストンでマクラーレンが我々よりも多くのポイントを獲得したことは承知している。それは我々にとって好ましい状況ではない。ドライバーふたりで毎週、多くのポイントを獲得する必要がある。それが、チャンピオンシップでリードを維持する唯一の方法だからだ」

 レッドブルはペレスとの2026年までの契約を発表済みだが、チームの情報筋によると、サマーブレイク前の最後のグランプリであるベルギーGPが終わった段階で、ペレスがフェルスタッペンに100ポイント以上の差をつけられている場合、チームは違約金を支払うことなく、ペレスを降ろすことが可能だという。すべてのドライバーの契約書にパフォーマンス条項が含まれているものであり、ペレスとレッドブルの契約において、そういった条件が設けられていても不思議ではない。

 ペレスは、エミリア・ロマーニャからの6戦で15点しか獲得しておらず、イギリスGPではノーポイントに終わった。第12戦終了時点で、フェルスタッペンは255点を獲得、ペレスは118点にとどまり、その差は137点。あと2戦で100ポイント以内の差まで追いつくのは困難だろう。

 しかし、レッドブルは、ペレスを降ろすことが可能だとしても、後半戦から後任として起用したい理想的なドライバーがいないという深刻な問題を抱えている。多くの人は、レッドブル関連ドライバーリストのなかでは、角田裕毅が良い選択肢になり得ると考えるだろう。RBの角田はF1参戦4年目を迎え、非常に成熟し、チームメイトのダニエル・リカルドより良い成績を残している。しかし、ホーナーは角田の大ファンではないと広く考えられている。

 シルバーストンでメディアから、ペレスの代わりとして角田は適任だと思うかと聞かれた際に、ホーナーはあまり熱意を感じさせない様子でその問いに対して答えた。

「裕毅はレッドブル・レーシングのドライバーだ。彼はレッドブル・レーシングと契約を結んでいる。良いパフォーマンスを発揮しているため、再契約した。彼のパフォーマンスについてはよく分かっている」

 そう言ったホーナーは、「いつか(レッドブルで)テストをするかもしれない。それはまだ分からない」と付け足した。

 すでにレッドブルRB20でのテストが決定しているのは、リザーブドライバーのリアム・ローソンだ。ただ、ローソンが、今年のオランダGPからペレスの代わりを務めることができるかといえば、レッドブルでさえそのリスクは冒さないだろう。

 1年近くレースに出ていないローソンをフェルスタッペンのチームメイトにすることは、ローソンのキャリアを台無しにする可能性がある。レッドブルはかつてピエール・ガスリーをシーズン途中に降ろしてアレクサンダー・アルボンを昇格させたことがあるが、それがアルボンにとって良い結果にはならなかった。彼は結局、レッドブルのシートを失い、1年間F1から離れた後、ウイリアムズでキャリアを構築し直さなければならなかった。そのことを、ホーナーは忘れてはいないだろう。

 リカルドが好調であれば、ホーナーにとって彼を乗せることが理想的だが、リカルドのパフォーマンスは今も、角田と比べると見劣りすることが多い。シルバーストンで今後について聞かれたリカルドは、自分の将来がどうなるか全く分からないと答えた。

「他のどこかに行くという確証はない。(F1では)クレイジーなことが起こり得るけれど、僕は、そういうことを考えたり口に出すような立場にはいない」