労働人口が減少するなか、人手不足に陥り、現場が疲弊している会社は多い。神奈川県の50代後半の女性(事務・管理/年収400万円)は、部品メーカーの海外部で貿易業務に従事しているが、人手不足状態だという。
「皆40代以上のベテランばかり。4月入社の新入社員も配属されず、中途採用を募集しても採用ゼロで3名欠員で補充なし。どうやら人気がないらしい」
人気がないというが、そもそも求人に応募が来ないのだろうか。(天音琴葉)
「企業体質が古く、残業が多いため、3~5年程度で転職していく」
補充人員が来ない以上、1人当たりの仕事量を増やしてでも業務を回すしかない。マネジメント職に就く2人も手伝っているようだが、「書類作成、貨物の梱包作業、通関業者とのやり取り等」という実務経験が足らず、結局のところ女性たち貿易担当者がフォローしなければならない。3人分の穴を埋めるのは大変だろう。
人手不足の原因として離職率の高さが根本にあるようだ。女性はいくつかの問題を指摘した。
「企業体質が古く、残業が多いため、3~5年程度で転職していく。語学手当や海外研修制度もなく、魅力もないからだ。もっと条件のいい職場へ移っていく」
職場に40代以上しかいないと明かしていたが、実際のところは30代以下もいたが転職して今はいないということなのだろう。
離職者が相次ぐ理由は、古い企業体質だけではないようだ。
「世界情勢にも左右されやすい職種で、コロナ禍では真っ先にリストラ・配置転換対象になり、取引先担当者も会社都合で退職していった。通関士も通関業務がなければお荷物扱いで、外回りの営業に配置転換される。世界情勢が回復しても、一度辞めた優秀な人材は戻ってこない」
コロナ禍、同様のケースはほかでも起きていた。よほど余力がない限り、リストラせざるを得なかったのだろう。しかし切られた労働者側からすれば、会社の事情など知ったことではない。転職が売り手市場にあるなか、スキルを持った人材は引く手数多であり、破格の給料でも提示されない限り古巣に戻らないのは当然と言えよう。
「新卒社員は皆、理系。技術系職希望者ばかりで開発、生産管理、技術営業に配属され、中途採用は経理経験者で、経理配属。手に職、安定志向で不安定な海外営業希望者なんていないのが現実だ」
と女性は結んだ。仕事が増えているのだから、せめて給料を上げてもらいたいところだろう。
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