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NPU搭載のRyzen 8040HSシリーズを採用! 片手で持てる「GEEKOM NUC A8」は高コスパなミニPCだった 実機を試して分かったこと

2024年07月09日 12:21  ITmedia PC USER

ITmedia PC USER

「GEEKOM NUC A8」は、Ryzen 9 8945HSを搭載したパフォーマンス志向のミニPCだ。アルミニウム製のボディーで見た目の印象も良い

 「GEEKOM NUC A8」は、NUCスタイルのミニPCを多数そろえるGEEKOMから登場した、AMD Ryzenプロセッサ搭載の新型ミニPCだ。TDP 45Wの高性能ノートPC向けRyzen 8040HSシリーズを採用したスペックとコストパフォーマンス、洗練された外観が主な特徴となる。


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 基本スペックの違いで2種類のモデルがあるが、今回はRyzen 9 8945HS/32GBメモリ/2TB SSDの上位モデルの実機を入手した。性能や使い勝手をレビューしていこう。


●容積はたったの約0.47Lで手のひらサイズのフォームファクターを採用


 本機の具体的なボディーサイズは約112.4(幅)×112.4(奥行き)×37(厚さ)mmで、容積換算すると約0.47Lだ。重量は実測で428gだった。


 「NUC」といっても最近は解釈が拡大していて、サイズがかなり大きな製品もあるが、本製品は正真正銘の「手のひらサイズ」といえるフォームファクターだ。VESAマウント用プレートも付属しており、液晶ディスプレイの背面に取り付けられるのもポイントである。


 電源は内蔵しておらず、出力120WのACアダプターで駆動する。ACアダプターの実測重量が376gとスリムだ。電源ケーブルがややかさばるものの、ACアダプターの本体は薄型で軽量にまとまっている。


 シルバーのボディーは、大部分がアルミニウム製だ。マテリアルについて詳細な記載はないが、表面の処理は上質で、傷や皮脂も付きにくい仕上げで外観も洗練されている。


 また、背面と底面はブラックで、この部分は樹脂が使われているが、ここに無線通信機能のアンテナを配置する。


●高速かつ充実したインタフェースを用意


 本機のUSB端子は、USB Type-Cが2基、USB Standard-Aが4基と合計で7基を利用可能だ。USB Type-C端子は2基とも画面出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応しており、2基のHDMIと合わせて最大4画面出力も行える。


 また、USB Type-C端子のうち1基はUSB4(USB4 Gen 3 x2)をサポートし、40Gbpsの高速データ通信を実現する。USB Standard-A端子も、4基中3基はUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応と高速な端子がそろう。


 通信機能も2.5GBASE-T対応の有線LAN、Wi-Fi 6E対応の無線LANとBluetooth 5.4と文句のない内容だ。


 側面にはSDメモリーカードスロットもある。仕様が記載されていなかったので手持ちのUHS-II対応のカードで試してみたところ、毎秒200MB以上の速度が出ており、UHS-II以上には対応しているようだ。


 ただし、このスロットはカードの差し方が独特で、端子面を上に向けて装着する仕様だ。無理矢理入れようとするとカードを破損する可能性があるため注意しよう。


 ちなみに、Webページのスペックには一部のUSBポートに対して「Power Delivery」の文字があるが、これは「電源オフ状態でのスマートフォンなどへの給電サポート(電源オフチャージ)」を指しているようだ。本製品がUSB Power Delivery(PD)対応のACアダプターなどで駆動できるわけではない。


●最大5.2GHzで動作する8コア16スレッドの「Ryzen 9 8945HS」を採用


 本機のCPUには、AMDの「Ryzen 9 8945HS」を搭載している。2023年12月発表のRyzen 8040シリーズ(開発コード名:Hawk Point)のハイエンドモデルで、8コア16スレッド/動作クロック最大5.2GHzというパワフルな仕様だ。


 Zen 4アーキテクチャを採用しプロセスルールは4nm、GPUコアとしてRadeon 780M、16TOPSのNPU(GPUと合わせたAI処理性能は39TOPS)も統合する。手の平サイズのミニPCに採用されるプロセッサとしては、かなり強力な部類だろう。


 パフォーマンスのカギになる冷却については、シロッコファンと大型ヒートパイプで構成した独自の冷却システム「IceFlow 1.5」により、快適な温度で高いパフォーマンスを楽しめるとアピールしている。


 メモリやストレージも、ミニPCとしては高速な製品が使われている。メモリとしては16GBのPC5-44800S(DDR5-5600)を32GB(16GBモジュール×2枚)、ストレージとしてはPCI Express 4.0 x4対応の2TB SSDを備える。


●ミニPCとしては極めて優秀なパフォーマンス


 ベンチマークテストのスコアを見よう。比較対象として、2023年5月にレビューした「Intel NUC 13 Pro」と、2023年12月にレビューしたCore Ultra 7 155HノートPC「Swift Go」のスコアも掲載している。


 ミニPCとしてはパワフルなCPUを採用する本機だが、ベンチマークテストの結果も優秀だ。Intel NUC 13 Proも良い性能の製品であったが、CINEBENCH R23のCPUスコアやPCMark 10のDigital Content Creation(コンテンツ制作)など、高負荷なマルチスレッド性能では本機が圧倒している。ビデオのエンコードでもそれは発揮されており、ハイスペックなCPUのパフォーマンスをしっかり発揮できているといえるだろう。


●製造プロセスの優秀さを感じる消費電力


 本機の消費電力も計測してみよう。CINEBENCH R23のCPUテストを実行すると、最初だけ95Wを超えるが、すぐに90W弱になり、その後は2分くらいかけて徐々に下がっていき、72W前後でほぼ安定する。安定した後もたたまに少し上がる場合があるが、少し余裕ができると周波数を上げるのだろう。


 今回はWindows 11の電源設定を「最適なパフォーマンス」にしているが、「バランス」にすると負荷がかかっていない状態では積極的に電力を下げるようになり、アイドル時は最低3.8Wまで下がった。Ryzen 9 8945HSは、TSMCの4nmプロセスルールで製造されているが、7nmや8nmに対してのアドバンテージを感じる結果だ。


 動作音も優秀な部類だろう。アイドル時は無音、低負荷時も静かな環境で耳を近づければ分かる程度だ。高負荷を連続してかければそれなりの音にはなるが、小刻みな変動のない安定した音質なので、少し距離を離せばあまり気にならない。


●パフォーマンス志向のミニPCとしての魅力は大きい


 これまで見てきたように、GEEKOM NUC A8は手のひらサイズのフォームファクターながら素晴らしいパフォーマンスと高い接続性を持ち、放熱もしっかりとできている。パフォーマンス志向のミニPCとしての魅力は大きい。


 GEEKOM直販サイトでの販売価格は、評価機と同じRyzen 9 8945HS/32GBメモリ/2TB SSDの上位モデルが通常価格で15万8000円(税込み、以下同様)、CPUやSSD容量をダウンさせた(Ryzen 7 8845HS/1TB SSD)下位モデルは12万2000円だ。


 現在はセール中で、それぞれ13万1300円、10万3900円になっている。さらに4000円オフになるクーポンも配布されており、このセール価格を基準にすればコストパフォーマンスは抜群といえる。直販ストアでの購入なら、標準で3年保証が付帯するのも魅力だ。


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