物価高が続くなか、どれだけの収入があれば豊かだと言えるのだろうか。「世帯年収が1100万円」だという茨城県の50代前半の男性(メーカー系/素材・医薬品他/正社員)。現在は独身のようで、おそらく一人で稼いでいるのだろう。資産状況について、「貯金1500万円、投資信託5000万円、確定拠出年金1200万円」と「自宅(予想売却額2500万円)」と明かす。
月々の出費については、自宅は借り入れなしで購入したため住宅にかかる費用は管理費と修繕積立金を合わせて4万円、食費は外食費を含めて3万円で「年間の総支出は260万円ほど」と回答しており、慎ましやかに暮らしている様子がうかがえる。
「年間貯蓄額550万円。投資信託額が7500万円を超えたら早期リタイヤを予定している」
明確な目標があると貯蓄しがいがあるだろう。(文:天音琴葉)
休みは日曜のみで「その日曜日も半日ぐらい働いている」
鹿児島県の40代後半の男性(サービス系/個人事業主)は、「世帯年収が1700万円」と回答。家族構成は夫婦二人のみで、さぞかし余裕のある暮らしをしているだろうと思いきや、自営業ならではの悩みを明かした。
「旅行にも行けない、休みも日曜日だけですが、その日曜日も半日ぐらい働いている」
しかしその分、資産をしっかりと築いているようだ。資産状況は「旧NISA、新NISA、iDecoで夫婦800万。現金預金約2800万。小規模企業共済が夫婦で1900万」と明かし、このほかに、「20年間金利固定の生命保険に7000万円」を預けている。生命保険会社から配当金として「毎年280万円の配当×20年」がもらえるという。もちろん被保険者の死亡時には、多額の保険金が入るだろう。
持ち家もあり、住宅ローンは完済している。男性は40代だが、夫婦で老後を迎えるだけの資産を既に築いているように思える。ところが、
「老後の収入だけは心配なので、インフレに対抗すべく、今は新NISAの限度額を5年で夫婦2人分を上限いっぱいにするのが目標」
と資産形成に余念がない。「服にもお金かけない、車も10年は乗る」と節約もしているようで、
「食費は夫婦2人で月に10万ぐらい。毎晩、仕事終わってお酒とツマミをいただくのだけが楽しみです」
とこぼしていた。
神奈川県の30代後半の女性(流通・小売系/正社員/子ども3人)は、「世帯年収が1400万円」で、「貯金1000万円、株式2000万円、投資信託1800万円、債券200万円」と明かす。そのため「困っていることはない」とはいうものの、
「共働きをやめても今後の生計を不安なく立てられるようになりたい」
と本音をのぞかせた。
子育てに専念したいという女性は少なくないだろう。先述した自営業の男性もしかり、高い収入と引き換えに、時間も心身も削り取られていくもの。十分蓄えてもなお将来への不安が拭えないとしたら、果たして豊かと言えるだろうか、疑問である。
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