夢の年収1000万円。そうなると、毎日の食事も値段を気にせずによいものを食べられるのだろうな……と羨ましく感じてしまう。しかし、昨年、ついに年収1000万円に到達したという都内在住の40代男性(教育系営業職)のメインの食事は牛丼。それも、毎日必ず一度は松屋、吉野家、すき家、またはゆで太郎か富士そばに立ち寄るという。お金は十分あるはずなのに、チェーン店の割安メニューにこだわる理由とは? (取材・文:昼間 たかし)
いくらなんでも牛丼食べ過ぎ
男性は独身で持ち家(1DKのマンション)に住んでいる。住宅ローンの支払いはあるものの、さほど生活が苦しいようには思えない。そんな男性の食生活はかなり奇妙だ。たとえば6月3日の週はこんな感じだったという……。
6月3日:
朝:牛丼並(吉野家)
昼:食べず
夜:牛丼並(松屋)
6月4日:
朝:牛丼並(吉野家)
昼:食べず
夜:キムチ牛丼並(すき家)
6月5日:
朝:たぬきそば(富士そば)
昼:かけそば(ゆで太郎)
夜:部下と居酒屋 シメに牛めし並(松屋)
6月6日:
朝:牛めしミニ(松屋)
昼:同僚とラーメン
夜:紅生姜天そば(富士そば)
6月7日:
朝:牛めし並(松屋)
昼:食べず
夜:取引先と居酒屋数軒
ちょっと待って。ほとんど牛丼かそば屋じゃないか……。なぜこうなっているのか。
「好き嫌いとかはないんですが、今日はなにを食べようか……なんて考えるのが嫌なんです。だからほぼ決まったメニューのルーティンになっています。それに、お金があるからといって、ちょっといいものを食べるのって許されない浪費だと思っているので」
なるほど、彼にとって、チェーン店よりも高いランクの外食をすることは「許されない浪費」になるらしい。逆に、人に誘われて食事を共にするときだと、こうした呪縛とは無縁のようで「普段とは違うメニューに触れることができて、けっこう楽しい」とのことだ。
しかし、さすがに毎日これだと栄養的にヤバいのでは?
「もちろん、食生活が偏っているのは気にしていて、野菜ジュースを飲んだり、自宅でサラダを作ったりすることもあるんです。でも、毎年の人間ドックでもまったく問題はありません。10年ほど前に煙草をやめてから、ますます健康になってます」
体質なのか、何なのか。羨ましい限りだ。
さて、牛丼屋や立ち食いそば屋での食事は、男性にとって単なる栄養補給というわけでもないそうだ。
「朝とか昼に、急いで書き込むと、よしひと頑張りするかと活力が沸いてくるんです。逆に夕食に食べると、今日も頑張ったなと頭の中のスイッチをオフにしてくれる感じです」
ここまでくると、もはや牛丼や立ち食いそば屋抜きには、毎日のスケジュールが成立しないレベルだ。
ちなみに、30代の頃までは朝からカツ丼を食べて「やるぞ!!」と気分をあげていたそうだが「今はもう、ぜんぜん食べられなくなりました」とのこと。
食生活だけでなく、仕事に使うスーツなどのほかは質素が基本だという男性。そうなると貯金もけっこう貯まってそうだ。
「そろそろマンションの支払いも繰り上げで終わるくらいはあります。そうしたら、なにか趣味をやってもいいかなと思っています。今は土日は、自宅で筋トレしているだけなんで……」
おまえ仙人かよ!と突っ込みたくなる……。いや、仙人は霞を食って生きるというから、毎日牛丼食ってると無理かな?