2024年F1第11戦オーストリアGPのスプリント前、FIA国際自動車連盟のテクニカルデレゲートから、金曜日から土曜日の間のパルクフェルメ状態において、交換した部品とパラメータの情報がレポートされた。
それによれば、RBは角田裕毅のマシンに搭載されているパワーユニットのうち、主要4コンポーネント(ICE、ターボ、MGU-H、MGU-K)をすべてこれまで使用したものと交換していた。
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーによると、「金曜日のスプリント予選で縁石に乗り、フロアにダメージを負うほどの衝撃を受けたため、パワーユニットを調査する必要が出てきたことによる措置」だという。
つまり、現時点ではオーストリアGPの金曜日に角田が走らせたパワーユニットに問題が発生したというわけではなく、ダメージを負っていないか調査をするために一旦下ろされたという状況だ。なお、調査はサーキットでは行わず、日本のHRC Sakuraに戻され、念入りに調査されることになっている。
ちなみにテクニカルデレゲートのレポートによると、角田がパルクフェルメ状態のなか、FIAに申請して合法的に交換したパーツは、パワーユニット以外にも、フロアもプランクとスキッドごと一式まるごと交換されていることから、かなりのダメージがあったと推測される。
したがって、角田にとってオーストリアGPのスプリントは、コース上での戦いだけでなく、フロアなど交換したパーツとこの日から搭載されたパワーユニットを、予選に向けてきちんとセッティングするためのデータ取りも兼ねていた。そのため、リスキーな走りよりも、堅実な走りが求められた。
「できる限りのことはやりました。予選と日曜日の決勝レースに向けたデータも取ることができましたし、いつもどおりに走りました」
角田はそう言って、14番手からフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)をかわして、13位でフィニッシュしたスプリントを振り返った。
今年からスプリントの後は、予選までにセットアップの変更が許されている。データを見て、セットアップを見直した角田は、現地16時から始まった予選ではQ1で8番手に食い込むタイムを叩き出した。
「チームがスプリントの後にセットアップをさらに調整してくれたので、かなりいい感触でした」
Q3進出を賭けて臨んだQ2。1セット目のタイヤで、まずは1分5秒412とQ1の自己ベストを更新した角田は、10番手につけていた。
2セット目のタイヤを履いていったQ2最後のアタック。セクター1で区間自己ベストに0.042秒届かなかった角田は、セクター2に向かっていた。その下り坂の中高速コーナーで角田はタイムを失った。
「ターン6と7で、リヤが少し出ました(オーバーステアになった)。それでラップをまとめることができませんでした」
最後のアタックでライバル勢が自己ベストを更新するなか、1回目の自己ベストを更新できなかった角田はトップ10から落ち、Q3進出はならなかった。金曜日のスプリント予選のミスを挽回しようと臨んだ土曜日予選。結果は前日と同じ14番手。
「今日のクルマのペースは、Q3に進出できるだけの速さがあったので、それが実現できなくて本当に悔しいです」
角田はそう言って、この日も自分を責めた。