トップへ

「ルックバック」アフレコブースで河合優実に押山清高監督が「うらア!!」を実演

2024年06月29日 13:17  コミックナタリー

コミックナタリー

劇場アニメ「ルックバック」公開記念舞台挨拶の様子。左から吉田美月喜、河合優実、押山清高監督。
藤本タツキ原作による劇場アニメ「ルックバック」の公開記念舞台挨拶が本日6月29日に東京・新宿バルト9にて開催された。上映後に行われた舞台挨拶には、藤野役の河合優実、京本役の吉田美月喜、押山清高監督が登壇した。

【写真】「ルックバック」公開記念舞台挨拶の様子(全17枚)

昨日6月28日に公開を迎えた「ルックバック」。上映後の余韻が漂う中ステージに上がった河合は「今観たばかりの皆さんの熱気を同じ空間で感じながら、この場に立たせてもらえることがすごくうれしいです」と挨拶する。公開を迎えた感想を尋ねられた押山監督は「全然見るのが追い付かないくらい感想が飛び交っていて、本当にうれしい限りです」と笑顔を見せた。

河合と吉田は今回が声優初挑戦。河合は「この作品が声優初挑戦ですごくよかった」と述べ、劇場アニメの公開を喜ぶ。自身を「緊張しい」だと言う吉田は「京本の声を受け入れてもらえるのかなっていう緊張もあったり。ただそこも皆さんうれしい感想がいっぱいあって、本当によかったなって思います」と安堵の表情を覗かせた。

吉田がアフレコのディレクションについて「アフレコブースに入ったとき(河合)優実ちゃんと2人きりの空間で、(スタッフが演技指導を)別のところから言葉を使って伝えてくれるっていうのがすごく印象的で」と語ると、河合も同意。しかし押山監督がブースに入ってきて直接指導をしたこともあったのだと河合が明かす。終盤のシーンで藤野が「うらア!!」と叫ぶシーンの演技に河合が苦戦した際のことを「『今僕がこの場で実演することになりました』って言って、私たち2人の前で『じゃあ今から叫びます。うらア!!』って言ってもらって、本当に150%の力で叫んでくださって。それは忘れられないです」と振り返ると、観客からは驚きの声が上がった。押山監督が照れくさそうに「ありましたね……。近くで大声出しちゃってすみません」と言うと会場は笑いで包まれた。

フランスのアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭」での上映について話題が移ると、押山監督は上映後にスタンディングオベーションが起こったことを述懐。その喜びを伝えつつ「スタンディングオベーションの間、何していいかわかんなくなって。こう、1回転してみて」と話し笑いを誘う。しかしフランスで上映されたのは完成する前の映像だったことから、拍手を受けながら「いたたまれない状態でのスタンディングオベーションだったので、ある種拷問のような時間でもあった」と悔しさをにじませた。

続いて「ルックバック」をどのような人に観てもらいたいかと尋ねられた3人。同作はマンガの制作を題材とする作品だが、押山監督は「普段マンガに接していない人とか、あまり絵を描かない人とか、普通の人にも観てもらいたい」と答えた。河合もマンガに向き合い続ける藤野に思いを寄せながら「それはどんな仕事でも当てはまるなと」と客席に目を向ける。「自分が人生の中で続けていることがあって、その中で誰かを失ったり、喪失があったり、どうしても忘れられないことがあっても、それと付き合いながら自分のやることを続けていくことが人生だな。みたいなことを今の年齢で感じて」と作品から得た考えを観客に語りかけた。吉田は「大切な夢とか、やりたいことがある人にぜひ観ていただきたい」と話しつつ「もし夢が見つかっていなかったり、自分の中で迷ってる部分がある人にとっても、何かを始めたくなるきっかけになる作品なのではないか」と微笑んだ。

ここで河合と吉田に押山監督が描いたそれぞれの似顔絵がサプライズでプレゼントされ、2人は「すごーい!」と声を上げ受け取る。吉田は必死にアフレコする様子が描かれた似顔絵を見て「私、この表情してました!」と笑顔で似顔絵と並んだ。河合も「アフレコしていて自分と藤野が重なる瞬間がけっこうあったんですけど、それを具現化されたような気持ち」と似顔絵を大切そうに見つめた。河合と吉田がそれぞれ藤野と京本に似ていると感じていたと言う押山監督は「似顔絵を描いたときに河合さんを描いていたらなんか藤野みたいになっていて。吉田さんを京本っぽく描いても吉田さんになるし」とキャラクターとキャストが重なった瞬間を振り返った。

最後の挨拶では河合が「この劇場アニメを見た後のフレッシュな気持ちをぜひ家に持って帰って大切にしてもらいたい」と思いを述べる。続く吉田は舞台挨拶について「本当にすごく楽しい時間でした。皆さんと一緒にこの作品のお話ができてすごくうれしかったです」と満面の笑みを浮かべた。最後に押山監督が「多くのスタッフが多くの時間を使って作り上げた作品です」と語り始める。「アニメーションを作るのは本当に大変なので、苦労したのは僕だけじゃなくて」とスタッフに思いを寄せながら「多くの方に届けられることを僕は願っています」と伝え、舞台挨拶は終了した。

■ 劇場アニメ「ルックバック」
□ スタッフ
原作:藤本タツキ(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・キャラクターデザイン:押山清高
美術監督:さめしまきよし
美術監督補佐:針崎義士、大森崇
色彩設計:楠本麻耶
撮影監督:出水田和人
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音楽:haruka nakamura
アニメーション制作:スタジオドリアン
配給:エイベックス・ピクチャーズ

□ キャスト
藤野:河合優実
京本:吉田美月喜

※針崎義士の崎はたつさきが正式表記。

(c) 藤本タツキ/集英社 (c) 2024「ルックバック」製作委員会