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一体なぜ? 新紙幣発行でパチンコホールがまたまた閉店危機

2024年06月29日 06:20  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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7月3日、久々に新紙幣が発行される。今まで万札と言えば諭吉さんと呼ばれていたが、来月から流通する1万円札には渋沢栄一が描かれる。

新紙幣の投入理由については偽造防止対策強化のためとのことで、そういうことならまぁ、やらない手はないだろう。

さて、この7月3日に向けて、現在あらゆる店や自販機では新紙幣への対応が急がれているが、中でも大きな影響を受けるであろう施設がパチンコホールである。というのも、パチンコホールには遊技者が紙幣を使って玉やメダルを借りるための、現金サンドという機械のユニットが設置台数の数だけ存在しているからだ。

この現金サンド(正式名称は台間玉貸し機)。新紙幣の登場に伴い、プログラムの変更や、もしくはユニットそのものの交換が必要となる。実はこれが、パチンコホールによっては存続の危機に直結する、と言われているのだ。(文:松本ミゾレ)

ホールにとっては痛い経費、それなのに集客効果はゼロ

パチンコホールは全国に6000店舗以上存在するが、そのどれもがキャッシュレス非対応。その理由は、スマホでカードローンなどの借金をしてでも打つような依存症の人たちを増やさないため、などと言われている。

不便この上ない現状だが、そのため、新紙幣に対応する現金サンドは絶対に必要な設備ということになる。ところがサンドというものは台間に設置されているもので、原則1遊技機に1サンドが必須となる。

だから、500台遊技機があれば。500台のサンドユニットが必要になるわけで、これは入れ替え費用も高くつくのだ。プログラムをいじって新紙幣に対応できる現金サンドはまだ安くつくようだが、古いサンドをずっと使ってきた中小ホールの場合、いよいよ機械そのものを入れ替えなければならない時期になってしまう。

その費用は、設置機200台前後のどんなに小さなホールであっても数百万程度は掛かるだろうから、場合によってはまさに経営を脅かす事態になる。しかも、ユーザーにしてみれば新紙幣対応サンドが導入されることは当たり前の話であって、これにメリットを感じる者はいない。

「数百万、数千万かけて導入した、新しい現金サンドをさっそく見に行こう!」と思う客は1人もいないわけで、ホールにとってはこの経費の発生はマジで集客とは関係ない部分で生じるお金になる。

これほどホールにとっては魅力のない入れ替えもないことだ(もちろん、サンドが台ごとに設置されることでユーザーが効率的にお金を使ってくれるので、ホールからしたら現金サンドがリアルタイムでしっかりと売上を生んでくれる機械であるに違いないが……)。

6月に閉店するホールが目立ったのも偶然ではない?

現在のパチンコ業界ははっきり言ってユーザーがどんどん減っていて、ホール自体も減り続けている。依存症ユーザーだけが残り続け、業界も含めて内輪のノリだけで凝り固まっている。娯楽として世間からほぼ完全に無視され、既に新規需要がほぼなくなっているのが今のパチンコ・パチスロなのだ。

サンドの入れ替えが直接的な原因なのかは不明だが、このタイミングで閉まるホールも出ている。6月に入ってから僕が知っているホールも閉店告知を打つようになってきた。

その閉店理由自体は逐一アナウンスなんかしないものだけど、数年前のスマスロ、スマパチの導入開始時期にも営業を継続していた店がこのタイミングで閉店してしまうのは、やっぱり「新紙幣が原因か」と思ってしまうところがある。

……もっとも、別にパチンコホールって、昔からサンドを1台ごとにしっかり設置していたわけじゃないんだよね。僕がパチンコホールに出向くようになったのが2003年のこと。当時も大型店舗では既にサンドは1台ごとに設置していたが、弱小ホールは左右の客がそれぞれ後退で玉やメダルを借りていたものだ。つまりこの頃は、遊技機2台にサンド1台という配分だったということになる。

また、たしかそもそもサンドが1つしかなくて、そこに客が並んで順番に紙幣を投入して玉貸しを受けるという店も、あったんだよね……すぐに潰れてしまったけれども。いちユーザーとしては、別に遊技機1台ごとにサンドが必要ともあんまり思えないところではある。

それこそそうじゃない時期を知っていたし、別に不自由もしなかったので(繰り返しになるがホールからすればユーザーがジャンジャンお金を使ってくれなきゃダメなので、新サンド自体は必要不可欠ではある)。

ただ、たまに隣の客とサンドを挟んで同じタイミングで飲まれて玉を借りようとすることがあって、その時はちょっと恥ずかしかったっけ。しかも昔は万札を崩して千円札を用意してからじゃないとサンドが使えなかったんだよ。でもまあ、それも不自由ってほどじゃないしなぁ。

もちろん、何事もユーザーの利便性を追求するのは大事な企業努力なので、新紙幣対応の現金サンドをどうにか用意するという、その姿勢自体は素晴らしいんだけどね。