Text by CINRA編集部
堂本剛主演、荻上直子監督・脚本の映画『まる』の新キャストが発表された。
1997年に公開された『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来、27年ぶりに映画主演を務める堂本剛が演じるのは、美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田。通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失った沢田の日常が、部屋にいた1匹の蟻に導かれるように描いた◯(まる)を発端に、◯に浸食され始めるというあらすじだ。10月公開。
新キャストは綾野剛、吉岡里帆、森崎ウィン、小林聡美。
綾野剛は沢田の隣人の売れない漫画家・横山役、吉岡里帆は現代美術家のアシスタント・矢島役、森崎ウィンはミャンマー出身のコンビニ店員・モー役、小林聡美は野心的なギャラリーオーナー・若草萌子役を演じる。
【綾野剛のコメント】
ひとつひとつ祈りを大切に紡ぐ堂本剛さん。
ひとつひとつ心の襞を大事に編む荻上直子監督。
その無限のキャンバスに全部署の丹精が織り込まれていく。とっても変梃で健やかで、鮮やかで眩しくて。たまらなく愛おしい"まる"が誕生しました。
【吉岡里帆のコメント】
荻上組、念願の初参加です。昔から監督の作品のファンで、以前荻上さん脚本の作品に参加させて頂いたこともあり、大変嬉しいお誘いでした。監督の作品から感じる丸くて優しい抱擁して貰えるような世界はある種憧れの場所でした。
しかし、ここに来て今作の"まる"は新しい荻上作品の風がビュンビュンと吹いているように思います!タイトルとは裏腹にまるく収まろう、まるく関わり合おう、まるく落ち着こう、そういった事とは正反対の"まる"からの脱却、逸脱、と良い意味の裏切りを秘めた作品です。荻上監督のパンキッシュな一面に触れることが出来たのが貴重な体験で楽しかったですし、堂本剛さんとの共演も静かにワクワクとする時間でした。
何か収まり良い所から抜け出したいと思っている方にこの作品をぜひ見て頂きたいです。
【森崎ウィンのコメント】
荻上監督と堂本剛さんの紡ぐ物語の中で、自分のルーツでもあるミャンマー人青年として生きる事ができ、嬉しい限りです。
国を超え遠い地で営む生活。夢や希望だけでは生きていけない現実を目の当たりにしながらも、生きる喜びを味わう。人生に丸をつけるその日まで、どうやって過ごすか、問われているような撮影の日々でした。僕自身も、演じたミャンマー人青年と共に、福徳円満で円満具足な日々に憧れたのかもしれません。
是非、劇場でご体験くださいませ。
【小林聡美のコメント】
16年ぶりに荻上監督作品に参加させていただきました。演じたのは、物事に意味や価値を求め、狂騒的になっていく私たちの姿を象徴するような、ギャラリーオーナーです。苦み走っています。周りに惑わされず、自分を信じること、表現することは、とても難しいこと。でも、ときには惑わされたり、痛手を負ってもいい。
そんな、「まる」という言葉の哲学的な世界観を突き抜けたあたりを、楽しんでいただければと思います。