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「桃鉄でしか見たことない数字」 てんちむは自己破産して"賠償金"を帳消しできる?

2024年06月24日 16:40  弁護士ドットコム

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「桃鉄でしか見たことないですよ、こういう数字」。YouTuberのてんちむさんが6月23日、自身の公式YouTubeチャンネルを更新して、巨額の損害賠償を請求されている"裁判"について語った。


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てんちむさんは、豊胸手術の事実を隠してバストアップ商品をプロデュースしたとして炎上。その後、数億円の返金対応をしたが、商品販売の会社との裁判は続いているという。



判決はまだのようだが、巨額の"賠償額"であることなどから、てんちむさんは「自己破産」する可能性を示唆した。一般的にこのような場合、自己破産することはできるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。





●巨額の「賠償金」を支払わずに済む可能性も

――どんな場合に自己破産できますか?



支払不能であれば自己破産できます。破産自体は、債務者の財産をお金に換えて多数の利害関係者の間で公平に清算する手続きです。支払不能になった理由に関係なく、支払不能であれば自己破産を申し立てることができます(破産法15条1項)。



――てんちむさんは、巨額の賠償を支払わずにすみますか?



一般論として、免責が許可されて、損害賠償金が「非免責破産債権」にあたらなければ支払わずに済みます。てんちむさんについても、手続きが紛糾するとは思いますが、免責される可能性はそれなりにあると考えます。



まず、破産自体は債務者の財産を公平に清算する手続きにすぎませんので、破産したからといってそれだけで負債がなくなるわけではありません。破産者が負債から解放されるには、裁判所に免責を許可してもらう必要があります。



免責は、破産者の経済的更生のため破産しても残ってしまう負債の責任を免除する制度です。経済的更生が妥当でない場合、免責されません。破産者が、ギャンブルで多額の負債を抱えていたり、資産を隠して破産していたりした場合、免責を許可してもらえないこともあります(破産法252条1項)。



裁判所が免責を許可しても、一定の債権については「非免責債権」(破産法253条1項各号)として免責の効果が及びません。



非免責債権に破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権があります(2号)。こうした債務は、道義的に非難されるべき行為によって負担した債務なので免責するのは相当でないという理由で非免責債権とされています。



ここで「悪意」とは他人を害する積極的な意欲を意味しますが、仮に、てんちむさんにそこまでの「悪意」が認められるのであれば、非免責債権として免責の効果が及ばないことになります。



――破産・免責でも支払わないといけない場合、どうすればよいでしょうか?



自己破産によっても免責されない場合、個人再生という方法によって減額・分割払いを求めていく方法があります。個人再生は支払不能のおそれがある場合に裁判所の力を借りて負債の減額・分割払いを求めていく手続きです。



しかし、個人再生でも非減免債権については減額が認められません(民事再生法229条3項各号)。再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権も非減免債権です(1号)。



その場合、被害者との間で交渉し、現実的な支払方法をまとめるしかないのではと考えます。




【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp