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年末だけじゃダメだった? 職場の大掃除は「半年に1回の法的義務」…破ると懲役刑の罰則も

2024年06月24日 10:00  弁護士ドットコム

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年末に会社や自宅の大掃除をするという人も多いのでは。しかし、実は会社の大掃除が「半年に1回」と義務付けられていることをご存知でしょうか。


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大掃除の規定があるのは「労働安全衛生規則」です。もうすぐ2024年も半年が過ぎようとしています。みなさんは6月中の大掃除に間に合いますか。法令の内容について山田長正弁護士に聞きました。



●毎日掃除していても、半年以内に1度の大掃除は「法的義務」です!

——会社(事業者)が大掃除を法的に義務付けられているというのは本当ですか?



はい、本当です。



社内清掃の実施については、労働安全衛生法23条を受けて、同法を実施するために具体的な内容が定められた労働安全衛生規則で「事業者は、日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うことの措置を講じなければならない」とされています(619条1号)。



要するに、会社(事業者)は日常的な清掃のほかに、6カ月以内に1回の定期的なペースで大掃除をしなければならないと定められています。たとえ毎日掃除をしている会社でも、半年に1回は「大掃除」をする必要があります。





——大掃除の目的を教えてください



労働安全衛生法の目的は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」(1条)です。



したがって、労働者の快適な職場環境を保つために6カ月以内に1回のペースで大掃除をすることで、職場における労働者の安全と健康を確保することが大掃除の目的となります。



職場が不衛生であれば病気の原因になりえますし、職場に物が散乱したりしていると、ケガや死亡事故など、労災事故の原因にもなりえます。



大掃除は労働者が安心して働ける環境づくりに欠かせない重要な役割を担っています。



●実は「大掃除をしない」罰則もあります! 適用された例は…

——大掃除をしない会社に罰則はあるのでしょうか?



あります。労働安全衛生法23条違反となり、もし事業主が6カ月以内に1回の大掃除をする義務を怠った場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金(同法119条1号)が科せられる可能性があります。



適用された例を聞いたことはありませんが、罰則規定がある以上、適用がないとは言い切れません。



上で述べたように、死亡などの悪質な事故につながるようなケースでは、書類送検されることもありえますので、軽視しないことが重要です。



——会社だけでなく、従業員も職場を綺麗に使う義務はありますか



はい。労働者には清潔保持義務が定められています。



「労働者は、作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない」(労働安全衛生規則620条)



また、労働安全衛生規則以外でも、会社の職務規程、就業規則などに清潔保持義務が規定されていたり、会社からの業務命令・指示に基づき、清潔保持義務を負うケースもあります。



労働者がこれらに反し、職場の清潔保持を怠った場合、業務命令違反や職場秩序を乱したことなどを理由に、会社から懲戒処分を受けることもありますのでご注意ください。




【取材協力弁護士】
山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
山田総合法律事務所 パートナー弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所
事務所URL:http://www.yamadasogo.jp/