再び舞台をヨーロッパに移して開催されるF1の第10戦スペインGPは、角田裕毅とRBにとって今シーズンを占う重要な一戦となる。
スペインGPが開催されるカタロニア・サーキットは、低速から高速までさまざまな種類のコーナーが組み合わされ、さらにストレートも長いことから、マシンの総合力が問われるコースだからだ。このサーキットで速ければ、ヨーロッパラウンドの残りのグランプリでもポイント争いは可能となる。
今シーズンここまで9戦中5レースでポイントを獲得し、ドライバーズ選手権で現在10位につけている角田。カナダGPで7位に入賞したランス・ストロール(アストンマーティン)がその差を2点に縮めてきただけに、スペインGPから始まる3連戦は、ランキングにおけるトップ10争いの最初の天王山となる。
そのスペインGPに、RBは大規模な空力アップデートを投入してきた。フロントコーナー、エンジンカバー、サイドポッドインレット、フロアボディ、ビームウイング、リヤウイングと、変更点はじつに6アイテムにものぼる。
グランプリ開幕前、角田はこう言ってアップデートに期待を寄せていた。
「走る前から大きな期待を自分から言いたくないですが、シミュレーションで試した限りでは何かを感じさせてくれるアップグレードで、そんなに小さなものではないという感触でした」
ところが初日、角田のマシンは、そのアップデートされたパーツに問題が発生してしまう。DRS作動時に開くアッパーフラップがきちんと作動しなくなってしまった。
「詳しくは言えないんですけど、リヤウイングだけでなくて、ほかにもいろんな問題が出ていました。それで、その分ちょっと後れをとってしまったというのはあります」
問題はリヤウイングにトラブルが出たことではなく、問題が出たために、最新のリヤウイングを使えなくなってしまったことだった。
「フリー走行1回目でトラブルが出たリヤウイングは今回アップグレードされたものだったのですが、それはもう使用することができなくて、旧型に戻してフリー走行2回目を走ることになりました。おそらく今週末に再び新型を使うことはないと思うので、そこで少しパフォーマンスに影響が出るかもしれません」
スペインGP初日15番手。それは角田にとって、想定外の結果だったに違いない。