客が店員に対して怒鳴ったり理不尽なクレームを入れたりすることは「カスタマーハラスメント」と呼ばれ、社会問題になっている。
SNSアプリ「GRAVITY(グラビティ) 」を展開するHiClubは6月17日、「カスタマーハラスメント(通称:カスハラ)」に関する調査結果を発表した。調査は5月中旬、20代から30代の男女を対象にインターネット上で行われ、399名から有効回答を得た。(文:長田コウ)
直近1年以内に、1回以上カスタマーハラスメントを受けたと回答したのは、27.9%だった。同調査には、カスハラ被害を受けた人からの具体的なコメントも寄せられている。
「社会人なりたてで言葉遣いが未熟だったことが原因でお客様が激昂」
カスタマーハラスメントを受けた人を職業別にみると、「サービス業」が52.9%と、半数を占めた。不特定多数の客と関わる機会が多いためだろう。次いで、2位「卸売・小売業」(17.4%)、3位「医療・介護・福祉」(12.4%)と続いた。
カスタマーハラスメントの中には、どのような行為があるのだろう。トップには、「理不尽なクレーム」(45.8%)があがった。
「返品不可の商品を返品したいと」(サービス業)
「惣菜の仕事で、対面での接客で20%引きと半額シールを貼る時間が決まっていて貼れない理由をお伝えしたが、買いに来たんだから貼ってよと文句を言われ、後に対応してくれなかったというクレーム電話を受けた」(サービス業)
次に多かった回答は、「暴言・罵声」(25.5%)だ。経験談として、このような声がある。
「社会人なりたてで言葉遣いが未熟だったことが原因でお客様が激昂」(サービス業)
「お前じゃ話にならん!上の者を出せ!!という感じで会話が通じない」(その他・コールセンター)
他にも、「威嚇・脅迫」や「セクハラ」行為があげられた。
客を相手にする仕事で頻繁にカスハラを受けていたら、心身にも支障をきたすだろう。「生活にどのような症状がありますか」という問いに対しては、「出勤が憂鬱になった」「モチベーションが下がった」という回答が約6割を占めた。
その他の回答からは、こんな声もあがった。
「その相手からの電話にでるのが怖くなった」
「いっときだけ、ストレスでお腹下しました」
「精神的に疲れて体調も優れず眠れなくなり、適応障害になりました」
体調や精神面に悪影響を及ぼしていることがわかる。
会社に求めること「すぐに映像のチェックと速やかな法的措置!」
「カスタマーハラスメントの悩みはどこで相談しますか」という質問に対して、最も多かった回答は、「同僚など職場の人」(19.8%)だった。職場の環境を互いに知っているからこそ、共感できることも多いのではないか。
一方、職場に相談した際、職場の対応の有無については、「なかった」と回答した人が75.8%という結果になった。「なかった」と答えた人からは、会社に求めることとして、このような声があがった。
「すぐに映像のチェックと速やかな法的措置!」(サービス業)
「クレーマー側の意見だけを聞いて従業員を怒るのではなく、監視カメラや担当した従業員にも事情を聞くべき」(サービス業)
「電話対応を自動音声やAIなどにさせるか、メールのみの問い合わせにする」(卸売・小売業)
一方、会社の対応が「あった」(24.2%)と回答した人からは、対応の具体的な内容が寄せられた。
「上司がその場をおさめ、メンタル面をよく気にかけてもらった。しばらく裏方の業務にまわしてくれた」(サービス業)
「一時的に裏方に回してくれたり、その客が来た時の防犯カメラの映像や他の店員の証言を警察に伝えてくれた」(サービス業)
「上司が電話をかわってくれた。担当から外れた」(製造業)
このような会社側の配慮があってこそ、本来の業務を全うできるのではないか。