2024年06月17日 10:50 弁護士ドットコム
デートや男女関係の対価として主に年上男性から金銭的な対価を受け取る「パパ活」。そのパパ活をする女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられた。
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生活費を稼ぐためにパパ活をしているという相談者。定期的に会う男性から普段は「大人の関係」の対価として1回数十万円もらっているそうだ。
ある日もいつもと同じように「食事→ホテル」と行くつもりだったが、食事後に数十万円を受け取った後、男性の態度が悪いことに気分を害し、トイレに行く振りをしてそのまま帰宅してしまったという。
金銭を受け取ったにもかかわらず食事だけで終えてしまい、詐欺にならないかを心配する相談者だが、実際はどうなのだろうか。また金銭を返す必要はないのだろうか。瀧井喜博弁護士に聞いた。
──詐欺罪などの何らかの犯罪に該当することはありますか。
詐欺罪は、欺罔(ぎもう)行為により相手を錯誤に陥らせ、財産を交付させた場合に成立します。欺罔行為の時点で詐欺の故意がなければ、詐欺罪は成立しません。
今回のケースでいうと、性交渉などの対価として数十万円の金銭を受け取る約束をし、性交渉を持つつもりもないのに金銭を払わせた場合には、詐欺の故意があったとして、詐欺罪が成立しえます。
他方、当初は性交渉を持つつもりで金銭を受け取り、後に翻意したということであれば、詐欺罪は成立しません。
相談者は、定期的に会う男性から、普段は性交渉などの対価として金銭をもらっていたのであれば、数十万円を払わせた時点では、性交渉を持つ「つもり」だったというのも、それなりに信ぴょう性のある弁解のように思います。
──受け取った金銭は返さなくても問題ないのでしょうか。
性交渉の対価として金銭を支払うという約束は、公序良俗に反する違法な合意です。このような合意に基づいて金銭を支払った男性は、「不法な原因のために給付をした者」(不法原因給付、民法708条)にあたり、金銭の返還を請求することができないとされています。
ですので、受け取った金銭も返さなくてよく、男性側からの返還請求にも応じなくてよいということになります。
ただし、詐欺によって金銭を支払わせた場合には、受け取った額相当額について、損害賠償請求されることになります。
過去の裁判例では、男性から女性への貸金に関し、女性側が不法原因給付にあたると主張した事案において、必ずしも男女関係の維持のみを目的とする金銭の交付とはいえないという場合に、返還請求を認めた事例があります。
メールやメッセージといった男性との過去のやり取りなどから、「必ずしも男女関係の維持のみを目的とする金銭の交付とはいえない」と判断される可能性がないか、確認しておくのがよいでしょう。
【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、「ブラック」でも「ホワイト」でもない「カラフル」な職場の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。
事務所名:弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/