Text by CINRA編集部
映画『HOW TO BLOW UP』の本編映像、著名人コメントが到着した。
FBIが「テロを助長する」と警告した同作は、地球温暖化が進み、気候変動の脅威が差し迫る最中、テキサス州の石油精製工場を即席の爆弾で破壊しようとする8人の若者たちを描いたエコスリラー。6月14日からヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開される。北米では『パラサイト 半地下の家族』『燃ゆる女の肖像』のNEONが配給。
監督は気候科学者の両親を持ち、気候変動についてのドキュメンタリーからキャリアをスタートさせたダニエル・ゴールドハーバー。キャストにはアリエラ・ベアラー、サッシャ・レイン、ルーカス・ゲイジ、クリスティン・フロセス、フォレスト・グッドラックらが名を連ねる。
本編映像は石油パイプライン爆破のための爆弾を製造する過程を捉えたもの。
ダニエル・ゴールドハーバー監督は「我々はアメリカの反テロリズム専門家と接触し、彼は3インチの鋼製パイプラインを破壊するために必要な爆弾の製造方法を詳しく教えてくれた。我々はその後、石油パイプラインを破壊する方法を考案するのを助けてくれる複数のパイプラインエンジニアにもアプローチした。また、我々は環境活動家の数人ーそのうちの何人かはその活動のために投獄されていたーと話し、組織の実用的な手段や、過激な行為に参加するという感情的な体験についてより深く理解するためにインタビューも行った」と爆弾製造シーンを撮るための過程を振り返る。
【ISOのコメント】
怒れる若い活動家が嘲笑の的となり、非難される光景を幾度も見てきた。
これはそんな大勢の若者の怒りはなぜ生まれたか、なぜ破壊活動に至るのかを、優れた洞察力と映画的構成で紐解いていく新時代のカウンタームービー。
彼/彼女らの戦いの帰趨を見届けた時、観客は鋭い問いを突きつけられる。
「本当に罪深いのは誰か?」と。
【篠田ミル(yahyell)のコメント】
気候危機とはただ暑くなることではない。ある土地が沈み、燃え、干上がることだ。
それは、食糧や水の欠乏であり、生物が居住できる地域の縮小のことだ。それは弱い立場に置かれたものから順に命を脅かされることなのだ。その時、地球を燃やし続ける物を破壊すること(=サボタージュ)の可能性が立ち上がってくる。
【荘子it(Dos Monos)のコメント】
火山のように溜め込んだ 僕らのマグマの一欠片 青い炎に焚べました
【辻愛沙子のコメント】
「正しさ」とは何か、彼女たちの人生をかけた選択を通じて問いかけてくる作品。気候変動は悪vs善という二項対立の戦いに限らず、その周囲にいる冷笑や傍観する人々との戦いなのかもしれない。
【竹田ダニエルのコメント】
環境破壊を止めるには過激な手法も取られるべきだ、という主張で世界中の環境アクティビストたちに大きな衝撃を与えた同タイトルの本。そこに書かれたことをZ世代アクティビストたちが実行したら、何が起きるか?全てを捨ててでも変化を起こす、若者たちのリアルな絶望の声が反映されている。
【eriのコメント】
この映画で描かれる若者たちの行動は「過剰」だろうか? そこに横たわる社会的な問題や構図よりも「暴力的」だろうか? 私は私の経験を元に、この物語を何度も何度も反芻しながら、今社会に対して自分たちが取るべき態度を姿勢を再考する。
【小野りりあんのコメント】
これはだたの物語。
けれど、似た心境の若者たちは実在する。環境活動団体「Just Stop Oil」などの過激と呼ばれる手法を選ぶ若者たちだ。
私自身、ロンドンにてJust Stop Oilなどの活動をしている若者たちに出会ったことがあり、彼女たちの想いや言葉を思いだす映画だった。
スリリングなエンターテイメントを求める観客だけでなく、地球沸騰化と呼ばれる時代に生きる若者たちの心情に共感を覚えるかもしれない一作だ。
【常川拓也のコメント】
ラディカルな政治理論を強盗映画のダイナミズムに転化させたシャープで巧妙な傑作!平然と行われている気候破壊的な企業活動=生活も土地も破壊する資本主義の暴走に終止符を打つべく、公害の影響を最も被る疎外された反逆者たち──黒人、ヒスパニック、ネイティブ・アメリカン、そしてクィアな人々が一致団結する。環境に優しい一味が狙うのは、地球の未来であり、彼らは、誰も傷つけることなく、腐敗したシステムと無自覚な富裕層にダイナマイトを食らわすのだ。
【長尾悠美(Sister)のコメント】
あらゆる構造の歪みが各所で悲鳴を上げる昨今、過激な抵抗は絶対悪なのか。無いものとされてきた声を届けるためには、どんな方法が適正なのか。タイムリミットが迫る中、私たちはどのように声のボリュームを上げていくか実践が試される。
【エドガー・ライトのコメント】
絶対に見逃せない、今年のベストの1つ
【ダニエル・シャイナートのコメント】
重要で緊急、素晴らしいスリラー!
【デヴィッド・ロウリーのコメント】
今年のベスト映画の1本