「有給を取ると必ず直属の上司から仕事のことでLINEが来ます」という投稿がキャリコネニュースに寄せられた。30代の男性は緊急案件なら仕方ないと思うが、実際には愚痴や明日でもいいような内容もあり、電話で1時間以上拘束される」ことまであるそうだ。誰しもが休みの日にまで仕事の連絡はやめてほしいと思っているはず。休日の仕事連絡って、何かルールはないのでしょうか? 労働法に詳しい林たかまさ弁護士に聞いてみると……。
有給中は「アナタの聖域」
結論:無視でOKです。有給中は、法律的には「休暇」です。アナタだけのかけがえのない時間、聖域です。なので有給中に上司からLINEが来ても”無視”で問題ありません。有給が明けた仕事日の勤務開始時刻を超えてからLINEを見て返信すればOKです。
労働基準法は、アナタの聖域(休息時間)を鬼保証しています。休憩時間については以下の規定があります。
労働基準法 第34条3項
使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
コンセプトは「自由」です。オンとオフを切り替えてこそイキイキと働ける。労働基準法はそこを目指しているのです。休憩時間と同じく、休暇日についても、会社はアナタの自由に利用させなければなりません。それが労働基準法の理念なのです。
もし上司が「なんで既読スルーするんだ!」と怒ってきたとしても「は?私、休みだったんで…(冗談は顔だけにしてくださいね)」でOKです。出勤した日に怒られそうなら、スマホで録音しながら上司との話し合いに臨みましょう。上司が「休みの日でもLINEを見て返信すべきだ」などのトンデモ発言をしてきたら、パワハラで損害賠償できる可能性があります。なぜなら、休暇日に仕事上の連絡をすることは、パワハラ第6類型の【個の侵害】にあたる可能性があるからです。プライベートへの侵入ということです。
つながらない権利
スマホのおかけで、いつでもどこでも仕事ができるようになった反面、いつでもどこでも上司から連絡がきちゃう束縛状態になっちゃいましたよね。これはイカン!ということで、フランスでは2016年に「つながらない権利」が労働法に盛り込まれました。
「つながらない権利」とは、休日に、仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のことです。会社と一切つながらなくていいんです。休みの日だけじゃなくて、勤務時間”外”もつながらない権利が保障されています。
まだ日本では「つながらない権利」が法制化されていません。しかし!法制化されてなくてもダメです。勤務時間外や有給中に自由に連絡をとることはできません。連絡をしたなら……
残業にあたる
もし上司がアナタの有給中に連絡をしたなら、アナタがそのウザイLINEに対応する時間は時間外労働となります。なので会社は残業代を支払う必要があります。あなたがLINEに対応している時間は「会社の指揮命令下にある時間」といえ労働時間にあたるからです。
実際に会社に勤めながら残業代請求することは難しいですが、有給中や退勤後にLINEやメール対応する時間は「残業」ということを押さえておいて、上司に「休みの日に連絡するのやめてくれませんか?(オメェ超ウザいんで)」と苦情を申し入れる時に「これは法律的には残業ですよ」と法律的な牽制ができるようにしておきましょう。
連絡していいケース
ほぼナイといっていいでしょう。緊急事態が発生したときくらいです。休暇を楽しんでいる方の聖域に侵入するほどの緊急事態など思い浮かばないのですが、たとえば「取引先との商談があるのにPC内のフォルダを開くためのパスワードが分からない。いま有給中のアイツしか知らない!」ような状況でしょうか……。完全に会社側の管理ミスなので理由になってませんが。というわけで、連絡していいケースは、ほぼありません。会社側は、有給中の従業員に連絡をしなくてもいいように組織をマネジメントしておく必要があるのです。
さいごに
というわけで、有給中に連絡が来ても無視でOKです。あなたが上司に苦情を申し入れているのにもかかわらず、頻繁に連絡がくるようであれば、会社のパワハラ相談窓口や、労働局・労働基準監督署に申し入れましょう。動いてくれる可能性があります。
今回は以上です。何か知りたいことがあればご質問お待ちしております。これからも職場トラブルに対処するため、知っておくべき情報をお届けしていきます。
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