ソーシャルゲームは無課金でも遊べるものの、マネーゲーム。札束での殴り合いになることがほとんど。結局は課金した方が有利になる。こういうゲームは、恐らく誰もまともに把握できていないぐらい大量に誕生している。
ただし遊び方の多様化と言っても、所詮はソシャゲなので方向性に限度はある。据え置きゲームソフトみたいな遊び方はできず、ひたすらやり込み、エンドコンテンツ、レイド、そしてガチャを延々繰り返すようなもので、やがて飽きられる。
かつてはコンプガチャ商法でかなりの売上を見せていたタイトルもあるソシャゲだが、近年は上手くいかない作品も目立つ。(文:松本ミゾレ)
人気IPを使って1年しか持たないこともある
スクウェア・エニックスも『ドラクエウォーク』を主体とした、数々の人気ソシャゲを運営している。が、このスクエニのソシャゲだって必ずしも全部が大ヒットというわけではない。
FF7のスピンオフみたいなソシャゲも出したと思ったらほとんど話題にならずにすぐ消えたし(ガラケー時代にもあったよね)、最近では『ドラゴンクエスト チャンピオンズ』が7月末でサ終(サービス終了)になることが発表された。
同タイトルは昨年6月にリリースされたばかり。サービス終了を決断するまで1年も持たなかった。ドラクエという人気IPでこれは異例だ。もっともスクエニはドラクエだけで数本のソシャゲを出しているので、ユーザーの食い合いをしていただけっぽいけど。
また、スクエニはサガ系のソシャゲとして、前身を含めると9年ほど運営していた『インペリアル・サガ エクリプス』も年内終了を発表した。
こちらはスマホゲーではなく主にパソコンで遊ぶタイプのソシャゲながら、ここ2年ほどは常に有償ガチャばかりが何種類も常に入れ替えで用意されていたので、結構苦しかったのだろう。
他にもバンダイナムコの『テイルズ オブ ザ レイズ』もサ終が決定。据え置き機でのテイルズシリーズの続報もない中、何とも寂しい結末になった。
まあ、ソシャゲなんてビッグタイトルのものであってもこうやっていつの間にか消えちゃうのが当たり前になっているので、興味がない人にとってはどうでもいい話なんだろうけど……。
買い切りゲームと同じ感覚で遊べるようになる??
ソシャゲあるあるとして、サービス終了すると何も残らないというものがある。いくらお金をつぎ込んでも、終わるときは終わるし、そうなったら返金もない。「数百万使ったけど、そのゲームが終わってしまった」と落胆した人を僕も間近に見たことあって「マジか」と思っちゃった。
一方で、この傾向に当てはまらない作品も、最近は増えてきた。たとえばバンナムは『テイルズ オブ クレストリア』というソシャゲを2022年に終了しているが、この作品は後にコミカライズという形で復活している。ゲーム内のストーリーモードを、ゲームでのシナリオ担当者がそのまま引き継いで再構成したもので、こういうのはファンには嬉しいものだったはずだ。
同じバンナムが2021年にサ終した『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』では、終了後にオフライン版として、これまでプレイヤーが育てていた怪獣の図鑑がそのまま残る措置をとっていた。性質上、別の端末にデータを移すことはできないものの、図鑑では円谷プロの監修を受けたレベルの高いグラフィックの怪獣を見ることができた。
今年2月にサ終となったWFSの『消滅都市』は特にオフライン版のサービスが手厚い。サービス終了後にアップデートがなされ、そのままストーリーやクエストをプレイ可能なオフライン版に切り替わったのである。もっとも、これも期間限定にはなっているが。
前項でも挙げた『インペリアル・サガ エクリプス』も、サービス終了後にはこれまで実装されてきたストーリーのシナリオがそのまま閲覧できるようにするという。ソシャゲが終了しても、コンテンツのいくらかは手元に残るというのは、入れ込んでいたユーザーには一縷の救いにはなるのかもしれない。
そもそも、1回のガチャを300円ないし500円のリアルマネーを投じて行うことがよくあるソシャゲでは、課金をするとなると相当な出費を覚悟しなければならない場合もある。
本来ならばもっと早い時期に、サ終後のオフライン版が広まっても良かった感はあるが、ともかくこういったサ終後のサービスも常態化すれば、買い切りアプリと同じ感覚でソシャゲに触れる人も出るのかもしれない。
まあ、なかなかサービス開始直後から「サ終しても安心してね」とはアナウンスしにくいだろうけど。