非正規はいつでも簡単に即クビにできると勘違いしている経営者は多い。北海道の50代前半の女性(教育・保育・公務員・農林水産・その他/年収100万円未満)は、事務補助のパートで働いていたとき、社長から電話がかかってきて、
「明日の仕事が終わったら来なくていいよ」
と、唐突に解雇を告げられたと訴える。
給料は社長が手計算で「間違えて多く払ったから来月差し引く」
その職場は、「社長を入れても従業員4人という小規模な事務機器の会社」だった。こじんまりとしたアットホームな職場だったのだろうか。社長から電話が来る少し前に、事務を担当していた先輩にこう言われた。
「社長が『間違えて多く給料を払ったから来月差し引く』って言ってたよ」
給料は社長が全て手計算していたというアナログな職場だった。そのため、社長から電話がかかってきたとき、女性は「その件かな?」と思っていたものの、実際には解雇を通達されたわけだ。
電話で社長はまず、「売り上げが減ったから退職してほしい」と言った。そのときのやりとりを次のように説明する。
「入金処理などを担当していたので売り上げが減っていたのはわかっていたので『わかりました。いつ付で退職となりますか?』と聞いたら『明日の仕事が終わったら来なくていいよ』と言われ絶句しました」
「パートには解雇通知は必要ない」と言い張る社長、有休消化も認めず
解雇は仕方ないと受け入れたとしても、さすがに明日から来なくていいと言われ、ショックだったろう。帰宅するなり、家族に相談した女性。結局、女性の夫が社長に電話し、
「パートを退職させるにしても1か月前には勧告しなければならないのに、前日とは何ごとだ!!さらに、退職する際には有休を使わせてもらう!!」
ときっぱりと伝えたようだ。女性の夫の主張は至って当然だ。翌日、出社した女性が事務担当の先輩に解雇の件を尋ねると、社長に関する驚きの話を聞かされたのだった。
「社長は法令などにうとく、ワンマン経営だったので今まで退職(自己都合)した人で有休消化した人はいなかったとのこと。その上、『パートには解雇通知は必要ない』『雇用保険も必要ない』と思っていたらしい」
ちなみに女性は1日4時間、週に20時間以上働いていたそうで、雇用保険の加入条件を満たしている。無事に退職できたのか気になるところだ。【後編】へ続く。
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