猫による飼い主さんへの嫌がらせ「ネコハラ」の“被害”を訴える人たちが後を絶ちません。一丁前に子猫がネコハラしてくることもあるようです。カグ茶さん(@kagu__cha)は、パソコン作業中に子猫の「諭吉くん」に邪魔され、5月22日にXに次のように投稿しました。
「これが噂のネコハラってやつか…」
驚くことに、このとき諭吉くんは1週間ほど前に保護されたばかりですが、すっかりお家に馴染んでいるように見えます。カグ茶さんにお話を伺いました。(取材・文:辻ひかり)
物置の片すみに置かれたダンボールにうずくまっていた5匹の子猫
兄弟猫4匹の里親さんはまだ決まっていません。写真はカグ茶さん提供(以下同)
いろんなところでネコハラしている諭吉くん
カグ茶さんが諭吉くんを保護したのは5月16日のことでした。
「夫が、会社の方から『野良猫が自宅物置に子猫を5匹産んだので、1匹でもいいから引き取ってくれないか?』と相談を持ち掛けられたのがきっかけです」(カグ茶さん、以下同)
カグ茶さんのお家には2匹の先住猫さんがいるため、「絶対無理だよ」と家族で話していました。ところがその後、子猫たちの母猫がいなくなったと聞き、悩んだ末に「1匹だけでも」と考え、保護に至ったそうです。
現場に行くと、子猫たちは「雨風はしのげる場所でしたが、物置の片すみのダンボールの中で、5匹うずくまっていました」と言います。
「あの5匹の中から、1匹だけ…ということに罪悪感を感じ、選ぶことができずに数時間、夫の会社の方の物置にしゃがみこみました。結局、1匹だけでも命を守れたらという気持ちで保護しましたが、本当にその決断が正解なのかは分かりません」
4匹は今も同僚のお宅でご飯と水は与えてもらっていますが、引き取り手を探しており、カグ茶さんもXで子猫たちの里親になってくれる方を募集しています。
「10年程前まで、私は猫が大嫌いでした」→今はかけがえのない存在に
保護当初は先住猫さんと別の部屋のケージの中にいた諭吉くん
葛藤のなか迎えた諭吉くんには化膿した細かい傷がありましたが、獣医さんから処方された抗生剤を飲ませ、大事には至らなかったようです。子猫用のウェットフードをもりもり食べており、5月26日時点で体重は510グラムあるそうです。
「性格は、人を怖がることはなく、逆に姿を見ると足元にまとわりついてきます。床に座ると膝に乗ってきて思いっきり甘えてきます。性格は好奇心旺盛で、怖いもの知らず、肝が据わっているように思います」
2匹の先住猫さんともうまくいき一安心ですが、諭吉くんの兄弟猫たちのことが気がかりのようです。
「10年程前まで、私は猫が大嫌いでした。毛が抜けるし、家はボロボロになるし、クシャミはでるし。でも、今は茶々丸・カグヤ(先住猫さん)、諭吉と過ごす時間は、私にとってかけがえのないものに変わりました。ただ、そんな時間の最中でも、兄弟猫たちのことを想うと、未だに胸の奥がチクンと痛んでしまっています」
春から秋にかけて生まれる子猫たち。母猫が育児放棄したり、カラスに襲われたりして、その多くが生まれて間もなく命を落とします。そうした悲劇を減らそうとボランティア団体や個人が外猫に避妊・去勢手術を受けさせていますが、追いつかないのが現状です。