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トラブル起きると「子が病気で…」、そんな社員は「子持ち様」と呼ばれても自業自得か? 30代独身女性がたどり着いた結論

2024年05月25日 09:30  弁護士ドットコム

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子どもを育てながら働く人に対して、皮肉として「子持ち様」と呼ぶネットスラングがあります。ここ最近、SNSでも見かけるワードです。


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「子持ち様」をめぐる体験や考えを弁護士ドットコムニュースがLINEで募ったところ、独身の30代女性(非正規)からメッセージが届きました。



「同じ職場の正社員の女性は仕事で大きなトラブルが起きると、子どもの病気を理由に逃げていく。子持ち様と言われても自業自得」



痛烈な批判に思えたものの、実際に落ち着いて話を聞いてみると、「LINEでは厳しいことを書いたけれど、子持ち社員に無理な働き方をさせている会社が悪いとも思っています」と語りました。



●負担の大きい業務が発生すると子どもを理由に帰宅、受話器は上げっぱなし

「子持ちの正社員の女性が過去にトラブルを起こした相手との折衝が発生する場面になると、子に急病が発生して、急遽帰宅する必要が出たことを突然申し出て仕事から逃げて帰ってしまう」



「いろいろな場面で仕事を他人に押し付けて自分は逃げる。自分のデスクの受話器をあげて繋がらないようにしていたり(しっかりバレている)」



「他人に押し付けて逃げる分の苦労は周りが被っているので『こういうのは子持ち様と言われても自業自得でしかないし子どもにも失礼すぎる』と感じるのが正直なところ」



弁護士ドットコムニュースのLINEに、上記のメッセージを送ってくれた女性に編集部は取材を依頼しました。



女性は、関東にある大手企業(メーカー)で、非正規従業員として働く30代の市川美喜子さん(仮名)。



数カ月前から、産休・育休に入る女性の正社員の代替として、10人程度の部署で働き始めました。正社員の復帰まで働く契約です。



市川さんのほかは正社員で、数人が時短勤務で働いています。市川さんが「子持ち様」と指摘したのは、そのうちの1人。未就学児を2人育てているといいます。



●ネガティブなことも書いたけど、子育て社員がそうせざるをえないと捉えている

インタビューで市川さんはこのように語ります。



「LINEで事前にお伝えした内容はネガティブな書き方をしましたが、正直なところ、育児をしながら働くことがどれだけ大変なのかはわかっています。個人にしわ寄せをする会社がおかしいと思っています」



この部署では、産休に入った社員が抜けて、市川さんが入ってからも、部の目標はさらに高く設定され、全体的に労働の総量は増えていくばかりで、みんなの負担は大きくなっているそう。



「その女性社員は、普段接すると嫌なところもないし、仕事もできる人です。ついつい『子持ち様』という言葉を使いましたが、なんとか余裕を作り出すために子どもを使って賢く逃げているように見えます」(市川さん)



これまで市川さんが働いてきた複数の会社では、もっとひどい「子持ち様」がいたと振り返ります。



「電話の受話器を上げるのはせこくて汚いやり口だと感じることもあるけど、大変な時代に子どもを育てながら働いてくれているのはすごいと思います。



ただ、同僚の仕事を押し付けられて、精神を病む人もいるので、子持ち社員が逃げ続けるのは困りますが…」(市川さん)



市川さんには持病があり、子どもを持つことはあまり考えていませんが「これから進学して資格取得も考えているので、経済的に自立できた段階でまだ30代であれば、やはり産みたいと考えるかもしれません」と話します。



●子育て世帯も色々

市川さんは、余裕のない労働環境の中で、会社内の課題を当事者へのしわ寄せでしのごうとするのではなく、会社自身が会社の課題であることを認識し、働きやすい環境を整えてほしいと考えます。



「子どもを育てる人でも、夫婦2人だけで子育てをしているのか、近くに頼れる親族がいるのか、利用できる社会資源に恵まれているかどうかで子育てにかかる労力は異なります。また、個人の力量もそれぞれです。



みな、それぞれの背景や状況がある中で相手への配慮を怠り、もしくは自分寄りの価値観や視点で『子持ち様』という呼び方をする人もいます。子育てをする人を一方的に悪者にしてしまう独身者にもあだ名をつければいいのにと思います。今の子どもたちが将来的に私たちを支えてくれる存在でもあるわけです」