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“子持ち様論争” 当事者の葛藤 キャリアを積みたいと思っても「柔軟な働き方」認められず、将来に不安

2024年05月24日 10:00  弁護士ドットコム

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SNS上で幼い子どもがいる職場の同僚を「子持ち様」と揶揄(やゆ)するような投稿がSNSで散見されています。


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弁護士ドットコムニュースが「子持ち様」をめぐる意見や体験談をLINEで募集したところ、さまざまな立場から多くの情報が寄せられました。



広島県の製造会社で正社員として働く30代女性には5歳と2歳の2人の子どもがいますが、「子持ち様と言いたくなる気持ちもわかる」と話します。



「それでも…」。女性が抱えるモヤモヤを聞きました。





●有休や看護休暇を使い切る

女性の夫は単身赴任中で、週末だけ自宅に帰ってくる生活です。そのため、平日は女性が仕事をしながら子ども2人の世話をしています。



幸いにも親が近くに住んでおり、勤務中に子どもが体調を崩した場合などは親に頼んで迎えにいってもらっているといいます。



しかし、子どもの歯科検診や予防接種、アトピーの治療に加えて、保育園の行事や保護者懇談会など、子どもの外せない予定や行事が次々と入るため、1年間に会社が認めている有給休暇20日間と看護休暇80時間をここ数年はずっと使い切っています。



子どもの用事自体は1~2時間で終わるものであっても、女性の会社にはその日の都合に合わせて勤務時間を早めたり遅らせたりできる「フレックスタイム」や時間単位で休みを取れる「時間休」、「リモートワーク」の制度が整っていないため、休みを半日か1日消化せざるを得ない状況です。



そこで女性は、子どもの急用に対応しやすくするため、1日6.5時間の時短勤務で働く選択をしています。



●「社員の可能性をつぶしている」

10年以上前から組合を通してフレックスタイム制度などの導入を会社に要望していますが、なかなか改善されていません。



「うちはそもそも女性が少ない会社なので、女性にバリバリ働くことを求めてはいない雰囲気があります。柔軟な働き方ができればもっと働ける女性がいるのに、働き方がガチガチに固定されているので、どうしても最低限の勤務時間の設定になってしまいます。これでは会社やそこで働く女性の可能性をつぶしていると思います」





そう話す女性ですが、「昔はもっとキャリアを積みたいと思っていました」。



社会人になって約15年が経ちますが、子どもを産んで育休を取ったり時短で働いたりする中でふと振り返ることがあるといいます。



「私はフルで働いてきた同期の3分の2ぐらいしか働いてこなかったのかなって。ついまじまじと計算してしまって、この先の希望がなくなってしまいました。これからは親の介護もあります。私自身どうしていきたいのか、迷走中です」



●柔軟に働ける環境を 「フォローはお互いさま」

”子持ち様”論争をめぐっては、女性にも思い当たる経験があります。



以前あるイベントに参加した際、多くの人が列で並んでいる中をベビーカーを押した女性が無理やり割り込むように通って行ったのを見て、嫌な気持ちがしたといいます。



「子持ち様とは言いたくないが、言いたくなる気持ちもわかります。職場のことで言うと、そもそも会社が専業主婦を想定しているので、制度が整えば子育て中の人ももう少し働けるようになり、他の人の負担も減ると思います。育児に関係なく、もっと柔軟に働けるようになってほしいです。誰もがいつ病気になるかわかりませんし、フォローされる側になるかもしれないので、お互いさまの気持ちでいたいです」