Text by CINRA編集部
舞台『そのいのち』が11月9日から世田谷パブリックシアターほかで上演される。
佐藤二朗にとって12年ぶりの書き下ろし新作戯曲となる同作は、中村佳穂の楽曲“そのいのち”にインスパイアされた作品。介護ヘルパーとして働く山田里見、彼女の雇い主で障害がある相馬花、その夫・和清の穏やかな関係が、あることをきっかけに徐々に狂い始めていくというあらすじだ。「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」が描かれるという。
山田里見役に宮沢りえ、和清役に佐藤二朗がキャスティング。2人は舞台初共演となる。演出は堤泰之が担当。
東京公演終了後は、11月22日から兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、11月28日に東京エレクトロンホール宮城で上演される。
【宮沢りえのコメント】
二朗さんから、脚本が届いた。あの佐藤二朗さんから生まれた作品!と驚きつつも、物語のページが進むたびに、登場する人間の抱えている言葉に出来ない、とてつもない感情が何層にも重なり、迎える結末に震えました。
二朗さん、他共演者の方達と、この作品に誠実に丁寧に向き合いたいと思っています。
【佐藤二朗のコメント】
その歌を聴いたのが始まりだった。中村佳穂さんの「そのいのち」。この歌が流れる物語を書きたい。そう思った。暗い澱に閉じ込められたとしても、前を見上げる人間の讃歌になるような、そんな物語を書きたいと思った。その脚本に、宮沢りえという大きな存在が共鳴してくれた。「そそられます」。りえちゃんが脚本を読んだあと、最初に僕に言った言葉。同業者としても脚本を書いた人間としても最大級の褒め言葉だ。りえちゃんと丹念に、この物語を紡いでいこうと思う。