呉服専門店「きもの鈴乃屋」を運営する平河(旧・鈴乃屋)が、5月21日に自己破産を申請した。今後は、平河から事業を引き継ぎ、新会社の鈴乃屋が同店の営業を継続する。
平河は、きものデザイナーの小泉清子が1947年に上野広小路で開業した「きもの帯 鈴乃屋」が起源。1950年に法人化し、1952年に支店第1号として明治座店を開店した。その後も銀座三原橋に銀座店をオープンするなど、1983年には全国衣料品専門店のトップとなる165店舗を擁するようになった。長らく旧・鈴乃屋の代表取締役を務めていた小泉は、NHK大河ドラマ「山河燃ゆ」(主演 松本幸四郎)や「翔ぶが如く」(主演 西田敏行)のほか、「義経」(主演 滝沢秀明)や「篤姫」(主演 宮崎あおい)、「八重の桜」(主演 綾瀬はるか)、「鎌倉殿の13人」(主演 小栗旬)など、数多くの衣裳考証を担当した。
現在、同店のほかに、卒業袴や振袖などのレンタルショップ「鈴乃屋レンタル」や、着付け指導の「鈴乃屋きもの学院」などを運営。きもの鈴乃屋と鈴乃屋レンタル合わせて32店舗が稼働している。帝国データバンクの報道によると、売上高は年々減少。また、コロナ禍の影響で結婚式や成人式などイベントの中止によって厳しい経営環境が強いられ、借入金は25億円(2019年3月)から50億円(2022年3月)と増加していたという。
この経営環境を受け、今年3月に着物ホールディングスカンパニーの紅輪との資本業務提携に合意。新会社の鈴乃屋は、旧・鈴乃屋がきもの事業を移管して設立した新設分割設立会社にあたり、紅輪が新・鈴乃屋の全株式を譲受した。新・鈴乃屋の代表取締役は丸山伸一氏が務めている。
5月21日に公表した平河(旧・鈴乃屋)の破産申立について、今年4月25日以降の取引による債権債務は新・鈴乃屋が対応するとしている。また、「鈴乃屋リンリン友の会」の積立金に関して、新・鈴乃屋が責任をもって引き継いでおり、すでに成人式の予約をしている利用者に対しても予約通りのサービスを提供するという。