日本の小売店やコンビニでは、当たり前のように店舗のトイレを無料で借りられるが、その裏には店舗やスタッフの苦労が隠れている。
繁華街でアルバイトをしている40代前半の男性(大阪府/サービス・販売・外食/年収500万円)は「2、3年前からトイレの利用時間を9時から21時までに制限するようになりました」と言い、その理由を明かした。
「万引き防止や、スタッフの人数が少なくなる時間は汚された際の対応が難しくなるためです。トイレが汚れていると、ほかのお客様が言ってきますからね。対応が遅いと二重クレームにも繋がります。汚してるのも別のお客様なんですけどね」
トイレを汚した張本人は、自分のせいで店側がクレームを受けていることなど想像もしていないのだろう。(文:福岡ちはや)
深夜のトイレ利用を禁止したら「店内で失禁や嘔吐。脱糞されたものが店内に」
男性いわく、以前には「お店を公衆トイレ代わりに、毎朝のルーティンでトイレだけ使う人」もいたという。その人は最終的に「バックヤードまで勝手に入ってきて、従業員用トイレを使い始めた」のがバレて、店内出入り禁止になったそうだ。
トイレの利用時間が制限されたことについて、客はどう思っているのだろうか。男性は「もちろん大抵のお客様は理解していただき、ほかのトイレを探しにいかれます」と言うが、本質的な問題解決には至っていないのが現状だ。
「結局、開いているお店のトイレが公衆トイレ化して汚される頻度が高くなるため、結果、今ではコンビニなど周辺の小売店のほとんどで、深夜にトイレを使用することができません。お酒を提供する店が多い地域では、この現象が広がってきています。(中略)中には、トイレが使えないからなのか、店内で、失禁や嘔吐、ひどい時には、脱糞されたものが店内にあるなんてのもありました」
しかも汚した人はそのまま立ち去るケースがほとんどで、結果として後処理や清掃を強いられるのは店のスタッフだ。そのため、「花火大会やお祭りなどの行事の日には、全日トイレ使用禁止の張り紙を店頭に出す店も多いです」と男性は言う。
「地方から来る方は特に、もう街中で夜中はトイレを借りることができないと思ってほしいです。(中略)行政はまだ、繁華街のトイレ事情の深刻さを把握していないのか、分煙のための喫煙所を一生懸命作ってますね。海外では有料トイレができていると聞きますので、いずれ日本もそうなっていくのかもしれません」
店舗のトイレを借りるときは、店側やスタッフの厚意に感謝しながら、汚さないように使いたいものだ。
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