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「私を怒らせたら出社できなくしてやる」と脅迫するパワハラ上司 労基と警察に相談してみた結果

2024年05月16日 12:20  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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職場で上司からハラスメントを受けると、精神的にかなりきつい。しかし、徹底的に闘ってパワハラ上司を撃退した人もいる。4年ほど前、製造業の管理部門で働いていた40代男性が、編集部の取材にその一部始終を語ってくれた。

それは親会社から工場に出向してきた60代の上司だった。始めはパワハラ上司だと分からず、“部下の指導方法”などを相談していたという。ところが相手は「指導=命令」という考えであるらしく、

「怒鳴りつけて従わせればいいんだ」
「命令して怒鳴りつけて従わせるのがアンタの仕事だ」

などと言われる始末。「出来ないなら仕事を辞めろ」が口癖の人物だった。何が気に入らなかったのか不明だが、男性はある日突然、この人物から罵詈雑言を浴びるパワハラのターゲットにされてしまう。

ある日突然、無視され「話しかけるんじゃねぇ」

始まりは、「おはようございます」と挨拶しても、無視される事だった。聞こえなかったかもしれないと挨拶を続けていると、「話しかけるんじゃねぇ」とまで言われた。

「仕事の話でも、ずっと無視されました。作成しろと指示された書類に印鑑を貰いに行くと『そんなの知らない、作成しろなんか言ってない。ハンコなんか押さない』と拒絶され、朝礼後に大勢の前で『寄るな。ストーカー』とまで吐き捨てる始末です」

さすがに、もっと上の立場の上司(以下上席)に訴えて3人で話し合いをしたが、50代で自己保身しか考えない上席は、まったく頼りにならなかった。

「問題の上司が『あんなのはハラスメントにあたらない。俺の言う通りに動かないお前がいけない』と一蹴すると、上席は『ハラスメントになんかあたらないですよねぇ~。わかります』と…。お前が悪いんだぞって感じで、向こうに加勢していました」

しかも悪いことに、男性の立場はこの後さらに悪くなってしまった。上席が休んだ翌日の朝礼で、パワハラ上司は大勢に向かってこんな脅迫をしてきたのだ。

「昨日、私がパワハラを行っているとケチをつけて来た輩がいる。私を怒らせたら出社出来なくしてやりますからね。覚悟しておくように」

まるでヤクザである。男性は、「これが一番すごい発言でしたが、雇用不安を煽るような発言が多かったですね」と振り返る。そのせいか、ほかの社員たちはすっかり萎縮してしまったようだ。

「他の社員もターゲットになりたくない気持ちから、反抗せず無言を貫いていました。そればかりか、男性社員の多くは上司に加勢する始末です。私を孤立させようと、見えない所で『退職まで追い込め』などと命令があったと、後で聞きました」

こんな苦境に立たされた男性は、心が折れて泣き寝入り…などしなかった。無視されるたび嫌な気持ちだったが、「この職場では、仕事の経験も知識も上なのは勤続約10年の自分」と考えた。まったく味方がいなかったわけではなく、対策を講じない上席に業を煮やしていた総務課長とは、情報を共有していたという。

「私は“来るべき日の為の証拠収集”をしようと、気持ちを切り替えて我慢していました。相手の一挙手一投足を全て記録し、問題発言は全てボイスレコーダーで録音しました」

そして反撃開始…弁護士と労基、警察に訴える

証拠をそろえた男性は、ついに「弁護士、労働基準監督署、警察」に相談する。

「労基署の相談窓口に相談すると、担当者から会社に事実確認の電話が入りました。突然の電話に工場長はしどろもどろ。労基署の担当者は『事と次第によっては労働審判も検討している』と、私の意思を伝えてくれました」

それだけ悪質と認められたのだ。警察にも相談した理由は、利害関係のない第三者(公的機関)からパワハラの確証を得るためだったという。

「警察では刑事課が対応してくれました。証拠の資料を見せると、『パワハラである』『被害届も検討できる』とお墨付きをもらいました。特に『会社に来れなくしてやる。覚悟しておくように』という発言を問題視したそうです。当時はその脅迫で体調を崩したこともあって、精神的苦痛も考慮してくれた形でした」

しかし、訴えられたと聞いてもパワハラ上司は謝罪もせず「あいつがだらしないから注意しただけ」とハラスメントを認めなかった。一方、親会社は事態を重く受け止め、解決に向かって動き出したという。

「私は時系列の資料を親会社に提出し、パワハラ上司を今すぐ引き取らなければ法的手段にでる旨を伝えていました。最終的には、暴言の数々を録音したCD-ROMの存在によって、事態は一気に動きましたね。解決には2年ほどかかりましたが、期の途中でパワハラ上司は親会社に引き取られていきました」

その後、男性はハラスメントとは関係なく転職し、現在は順調に昇進中だ。前職の上席のような、部下を踏みにじる行為を自分は行わないことを肝に銘じ、日々働いているという。最後にハラスメントの被害者に向けて、こうエールを送った。

「諦めずに公的機関に相談し、会社と粘り強く交渉することで、事態が好転すると信じて頑張ってほしいです。『どうせ退職するなら徹底的にやっつけてから退職してやる』という気持ちで取り組めば、道が開けて来ると思います」

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