Text by CINRA編集部
書籍『私の身体を生きる』が5月24日に刊行される。
同書は、女性/女性として生きる17人の書き手が自らの「身体と性」に向き合う連載として『文學界』2021年3月号からスタートしたリレーエッセイを書籍化したもの。島本理生の「Better late than never」を皮切りに、3年にわたってバトンをつないできた。
生身の身体を持った人間として直面する性自認、性的指向、性的欲望のあり方への葛藤、恋愛関係、妊娠・出産といった経験における摩擦、社会から受ける差別的な眼差しや抑圧、性暴力について、17人が自らの内面や傷ついた経験に向き合い、紡いだエッセイが掲載される。
著者は西加奈子、村田沙耶香、金原ひとみ、島本理生、藤野可織、鈴木涼美、千早茜、朝吹真理子、エリイ、能町みね子、李琴峰、山下紘加、鳥飼茜、柴崎友香、宇佐見りん、藤原麻里菜、児玉雨子。装画はWAKICO。
【『文學界』編集長・浅井茉莉子のコメント】
島本理生さん、村田沙耶香さんとの「女性が性/身体について率直に書く場があってもよいのでは」という会話から連載が生まれました。それぞれの性や身体は固有のもののはずなのに、外部から、また内部からの視線によって覆い隠されてしまっているものがあるのではないか。連載第一回、島本理生さんにお原稿をいただいた時に浮かんできたのが、「私の身体を生きる」というタイトルでした。
連載がはじまると反響が大きく、毎回楽しみにしていますという声だけでなく、私も書きたいと申し出てくださった方もいました。「多様性」という言葉が普及して久しいですが、ひとりひとりがこんなにも違う身体性を持っていることに毎回驚き、その違いに勇気づけられ、読むことは自らの身体を知ることでもありました。17人の筆者の方々が繋いでくださったリレーは、読む人を通して、未来を作るものだと思います。多くの方に読んでいただけると嬉しいです。
【書籍化担当編集・丹羽健介のコメント】
この本の編集は驚きに満ちた体験でした。身体をめぐる記述の多様さに驚き、ゲラになってからも文章を彫琢する皆さんの熱に驚き、書かれている内容の多くを自分が今まで知らなかったことに驚きました。ぜひ手に取っていただきたいです!