5月11日、アメリカ・インディアナポリス州のインディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースにて、2024年NTTインディカー・シリーズの第4戦『ソンシオ・グランプリ』の決勝が行われ、チップ・ガナッシ・レーシングのアレックス・パロウがポール・トゥ・ウインで今季初優勝を飾った。
涼しい風の吹くインディアナポリスにて行われた第4戦ソンシオ・グランプリ。5末には同地でシーズンハイライトの一戦であるインディアナポリス500マイルレース(インディ500)が行われることもあり、その前哨戦ともいえるラウンドとなる。
85周で争われる決勝レース。迎えたスタートでは、ポールポジションのパロウが1コーナーで軽くオーバーシュートし、その間隙をぬった2番手のクリスチャン・ルンガー(レイホール・レターマン・ラニガン)がトップに浮上する。
後方では、複数台によるポジション争いが激化し、スピンするマシンこそなかったものの、多くの衝突があった模様だ。
その後も各所で激しいバトルが続き、ロマン・グロージャン(フンコス・ホーリンガー・レーシング)やフェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)、さらにランキング上位に立つコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル)らがライバルに接近した結果コース外に押し出されて順位を落とす展開になってしまう。
トップを走るルンガーは、ハード寄りのプライマリータイヤ(通称ブラック)でリードを築きにかかるが、ソフト寄りのオルタネートタイヤ(通称レッド)を履くパロウも負けじとプッシュし間隔をキープする。
20周目までに上位勢は各車ピットインを行い、ルンガーはレッド、パロウはブラックに交換する。しかし、先にピットインを済ませていたレッドのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がアウトラップのパロウに迫り、オーバーテイクに成功。パワーは2番手に浮上してルンガーを追う。4番手にはポジションを上げていたディクソンがレッドタイヤで続いていく。
以降はルンガーがレースリーダーとして周回を重ねるなか、徐々に追い上げるパワーが1秒以内で2番手に続く。そして迎えた40周目、ルンガーが周回遅れの処理に手間取っているのを見たパワーは2度目のピットインを行い、レッドに交換してアンダーカットを画策。
これを見たルンガーはすかさずピットへ向かってブラックに交換し、辛うじてトップを守ることに成功した。
しかし、次の周にはパロウとディクソンもピットへ続き、レッドに交換。もっともタイムのゲインがあるアンダーカットとなったのは、このパロウだった。
ルンガーの目と鼻の先にピットアウトしたパロウは、ルンガーがプッシュ・トウ・パスを使いながら攻め立てるも力強く抑え込み、見事トップに浮上。
パロウは、ブラックを履くルンガーを相手にペースアップし、なんとか食らいつくルンガーを尻目にギャップを徐々に広げていく。
62周目にはパロウからディクソンまでのトップ4が同時にピットイン。パロウはレッドに履き替えてトップでコースへ復帰。さらにこのピット作業でパワーがルンガーを逆転し、2番手に浮上する。
66周目には、デイル・コイン・レーシングのルカ・ギオットがスピンアウトしてストップしてしまい、フルコースコーションが導入。各車のギャップがリセットになり、迎えた68周目のリスタートではパロウがパワーからポジションを守り、フルプッシュで周回を重ねていく。
最終的に6.6106秒のリードを築いてトップでチェッカーを受けた。2位にはスタート順位から1ポジションアップのパワー、3位にはルンガーが入り今季初表彰台を獲得した。
今回のポール・トゥ・ウインで、パロウがポイントランキング上位に浮上。2位には12点差でパワーが続き、3位はディクソンとハータが同ポイントで並んでいる。
2024年NTTインディカー・シリーズの次戦は、同地インディアナポリス・モーター・スピードウェイのオーバルコースにて開催される『第108回インディアナポリス500マイルレース』だ。いよいよ迎えるシーズンハイライトの一戦は、現地時間14日(火)の9時(日本時間14日(火)22時より走行を開始、決勝レースは26日(日)11時(日本時間で27日(月)0時)にスタートが切られる予定だ。