電車でなんらかのトラブルに遭遇した人は多いだろう。なかにはトラウマになるほどの恐怖体験をしたという女性もいるようだ。
大阪府の30代女性に編集部は話を聞いた。10年ほど前、当時20代半ばだった女性は週末に北大阪急行線に乗り、乗り入れている大阪メトロ御堂筋線のなんば方面に向かおうとした。
休日の昼頃とあって車内はわりとすいており、席に座った女性。その隣には小柄の高齢者が座っており、二人の間には「小さな子ども一人が座れるくらいの隙間があった」という。ゆとりを持って座れるが、もう一人座るほどではなかったのだろう。ところが……
「江坂駅で乗り込んできた男性がその隙間に体を押し込めてきました」
「何より体が密着して気持ち悪かったです」
小さな子どもが座れるかどうかという隙間に、男が体をねじ込んできたのだ。
「年齢は40代くらいに見えました。服装はよくある感じで、シャツにパンツで地味目だったと思います。背は高くなかったのですが、ぽっちゃりしており、何より体が密着して気持ち悪かったです」
女性は、さっと席を立ち逃げた。その際に男にじっと見られて恐怖を感じ、「どうぞ」というジェスチャーをして車両の端っこに移動した。ところがこの男は、次の駅で電車が停車しドアが開くと、驚きの行動に出たのだった。
「その男性が立ち上がり、降りるのかと思いきや私の方へ!ぴったりくっついてこようとするので、気持ち悪くて反対側のすみっこに逃げることに。逃げると追いかけては来ず、次の駅で降りていきました」
まるでスリラー映画の一幕のようだ。話はこれで終わりではなかった。
「今でも思い出すほどのトラウマです」
「降りてくれてほっとしていると、どんどん車内に人も増えてきました。みんな車内で詰めようとしていると、降りたはずの男性がこちらに向かって人をかき分けて戻ってきたのです。男性は降りるふりをして隣のドアから再乗車してこちらに向かって来たようでした」
男は降りると見せかけ、女性が油断した隙に距離を詰めてきたのだった。当然、女性は逃げた。「密着はされなかったのですが恐怖でした」と当時の心境を振り返った。いつか追いつかれてしまうのではないか、と思ったのだろう。そんな恐怖に苛まれていると、
「同じ車両に乗っていたカップルの男性が、『ちょっと!あいつやばくね?お姉さん大丈夫?こっち来たほうがいいよ』と大きな声で威嚇するように言ってくれました。最初の方から見ていたらしく、助け舟を出してくれました」
すると男は次の駅で逃げるように降りていったが、恐怖心は簡単には消えなかった。
「何度もついてきて密着しようとする謎行動が本当に怖かったし、気持ち悪かったです。体を密着させられたあの感覚や、こちらに近づいてこようとしたときの表情は、今でも思い出すほどのトラウマです。『これくらい』と思われる方もいるかもしれませんが、その後路線を変えて遠回りをし、疲れていても座席に座らないようにするなど、少なからず私の生活に影響が出ています」
ただ、この恐怖体験から学んだこともあったようだ。
「こういうトラブルは残念ながらゼロにはならないでしょうが、加害者に立ち向かうのは難しくても、『こっちにおいで』という言葉だけでも救える人がいることは今回のカップルのお二人に教わったので、各人ができる範囲で行動することで、少しでも嫌な思いをする人を減らしていけたらなと思います」
最近は国の主導で鉄道車両内に監視カメラを設置する動きも進んでいるが、まだついていない車両も多い。被害に遭う人を減らすためには、女性の言うように乗客一人一人の心がけや行動が欠かせないだろう。
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